前回の【第3回】では、資産運用において「金(ゴールド)」が保険的機能を有するお話をしました。以下の5つです。
【分散投資効果】
【有事の金】
【実物資産の金】
【通貨としての金】
【無国籍のコモディティ(商品)の金】
では、この5つの保険的機能の中で、今日現在(2023年12月時点)、どの保険的機能が一番効果を発揮しているのか考えてみたいと思います。
…現在(2023年12月時点)の世界情勢などをみてみますと、実のところ全ての保険的機能が発揮されている中での比較になるかとは思いますが…
連日のように新聞紙面をにぎわせている中東情勢の行方など情勢不安のリスク軽減、つまり、「安全資産と考えられている金」=【有事の金】の効果でしょうか?
それとも、足許ではインフレ(物価高)の話しも大きな話題の一つとなっておりますが、インフレリスクの軽減、つまり、「実質的な価値は減少しない金」=【実物資産の金】の効果でしょうか?
みなさんに関係の深い【実物資産の金】の効果については、もう少し具体的に説明します。インフレ時には実物資産は一般的に価格上昇すると言われています。金は存在そのものに価値がある実物資産です。日本国内では何十年ぶりかのインフレです。金の価格が高いのも頷けますね。
日本では長年デフレが続いていましたので、今までは意識している方は少なかったのですが、国内でもパン、パスタ、コーヒー、マヨネーズなど軒並み値上げの嵐です。
モノの値段が上がるということは、裏を返せば、現金の価値が下がるということです。資産を銀行預金ばかりで持っていると、インフレリスクが直撃です。なにもしていないのに資産価値が目減りしていくのです。ところが、金を持っていると、インフレによる影響を低減できます。モノの値段が上がると、基本的には金などの実物資産の価格も上がりますので、インフレという身近なリスクへの「保険」になるわけです。
本来は金の保険的機能が発揮されないような環境が私たちにとってはベストだと思います。
しかし、現在はその逆。
つまりいろいろと厄介なことが起きているということです。
こうなってくると、みなさんの生活はもとよりみなさんの資産も様々なリスクにさらされているわけです。
最近ではコロナショックにより株価が急落したのが記憶に新しいですが、過去にもいくつか同様なことが起こりました。
40年ほど前の1980年代は、日本も右肩上がりの経済成長を続けていました。預金金利は年10%ほどあり、銀行に10年間預けると2倍になるという時代でしたので、一般の方は資産運用について考える必要もありませんでした。ところが、1980年代後半になると、
米国のブラックマンデー(1987年)
日本のバブル崩壊(1990年)
と、それまで想像もされていなかったような出来事が立て続けに起こり、株価の大暴落を経験しました。
それ以降、
ITバブル崩壊(2000年)
リーマンショック(2008年)
東日本大震災(2011年)
チャイナショック(2015年)
そしてコロナショック(2020年)
と、非常に影響のある出来事が続いているような気がしてなりません。
もう少し考えてみると、私たちの身の回りで起きていることは他にもたくさんあります。
先のみえない不確実・不透明な時代です。
いつ、なにが起きても不思議ではありません。大きな”ショック”を引き起こす可能性について、主だったものを挙げてみましょう。
1. ウクライナ情勢・中東情勢の行方及びそこから派生する米国・ロシア・中国の対立
2. 台湾・東シナ海を取り巻く米中摩擦
3. 米中における半導体などのテック(テクノロジー)争奪戦
4. インフレ高止まり(特に米国)
5. 度重なる北朝鮮による弾道ミサイル発射
6. 自然災害
・・・などが挙げられます。
そして忘れてはならないのが、「2024年秋の米国大統領選挙」。
前アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏が大統領再選に向けて着々と準備を進めているようです。マーケットでは、『もしトラ(もしトランプ氏が大統領になったら?)』という用語が流行り始めています。ちなみに、同氏がアメリカ大統領になった2016年は「対中国戦略」や「関税の引上げ」などで世の中がかなり混乱したことが記憶に新しいところです。
さて2024年秋の結果はいかに?
以上のように、不確実なこと、不透明なことを数え上げればきりがありません。
現在はそのような時代になったということでしょう。
金は永遠の輝き
金は永遠の輝き
「金融商品は世相を映す鏡」だといいます。世の中で起きることが集約されて、株式や債券のマーケットに影響を及ぼします。
みなさんの公的年金も、株式や債券で運用されていますので、けっして他人事ではありません。
あなたの資産運用、「まもる術(すべ)」はありますか?
詰まるところ、わたしたちは先の見えない不確実な時代に生きています。米中の衝突、ウクライナを巡るにらみ合い、南海トラフ地震など、不安材料はいくつもあります。朝、目を覚ましたら、株価が大暴落していた――そのようなことも起こりかねません。みなさんは、資産運用を「無防備」な状態で行っていませんか?
万が一に備えて人生に保険があるように、資産運用に「保険」の役割を持つと期待される「金(ゴールド)」を加えてみてはいかがでしょう。
金は存在そのものに価値があります。
決して錆びない、腐食しない、世の中に存在そのものが限られている(オリンピック公式プールで約4杯分)。
こんなことが金の価値を高めているのでしょう。
博物館・デパートなどで、時折開催される「黄金博」。
そこではツタンカーメンのマスクが展示されたりすることもありますよね。
数千年の時空を超えて今も光り輝いているわけです。
金は「存在」こそが価値なのです。
次回の【第5回】では、資産運用をするにあたっての考え方などを述べたいと思います。
難しいと考えられている資産運用。
決してそんなことはありません。
ラクして(楽して)資産運用に取り組みましょう!
それでは【第5回】へのアクセスも期待しております。
【前回】
【第3回】 金の素顔(1)
【次回】
【第5回】 株式はじめ資産の買い方