株式はじめ資産の買い方

「分散・長期・積立」で安心感のある資産運用を!


 投資初心者が資産運用するには、どのような方法がよいですか?という質問は絶えることがありません。

資産(資金)を増やす資産運用は、国が発行する債券や事業会社が発行する株式・債券が中心になります。株式や債券に投資する意味は、これらの値上がり益、配当、利息などを通じて、“その国や会社の経済的成長の果実“を収益として投資家が受け取ることにあります。

決して「安く買って、高く売る」が本道ではありません。

例えば、資産(資金)の全てである会社の株式を買ったとしたら…。
株価が気になって、仕事や勉強に集中できなくなるかもしれません。
そうではなく、気付いたら「えっ! こんなに増えてるの!?」。これが一番ではないでしょうか。
そのためには、「分散・長期・積立」投資が大切です。

資産運用はギャンブルではありません。時間をかけて着実に増やすように取り組むのが正解なのです。

では具体的にどうすればよいのでしょうか?

資産運用の世界で何が一番難しいのか?それは、次の2点に尽きると筆者は考えています。
① 毎年、どの資産のパフォーマンスが一番良いか見極めること
② どのタイミングで売買をするのが良いか見極めること

では、この難問の答えはないのでしょうか?

もちろん世界の経済状況を研究し、ある資産に資金を投じるのもよいでしょう。ただその資産選択・タイミングが正解との保証は全くありません。
「だから資産運用は難しい、面倒くさい」といった声が多いのもまた事実です。

ところが、世の中にはベストと考えられる方法が実はあると筆者は個人的に考えています。その内容は次のようなことです。

①どの資産を選択すれば良いか判らない → 幅広い資産に投資してはどうでしょうか?国内だけでなく海外にも、かつ代表的な株式・債券だけではなく多種多様な資産に分散する。
②どのタイミングで投資すれば良いか判らない → 投資は基本的には「買い」から手掛けるものと考えれば、「買い」のタイミングを複数回に分けてはどうでしょうか?長期にわたって、時間をかけて(時間の分散)少しずつ買っていけばそれほど悩むことはないのではないでしょうか。

お伝えしたいのは、「投資(資産運用・資産形成)とは、貯金のように手掛けていく」ということです。少しずつでよいですから、金融資産として時間をかけて積み立てていくということです。
この手法のメリットの一つは、知らず知らずのうちに買い付けが進行し、時間分散を図りながら中長期での資産形成が実現していくという点だと考えられます。

金融庁が推奨している「つみたてNISA」(NISA:少額投資非課税制度) を活用するのも選択肢の一つでしょう。
特に人生の時間が長い若い世代の方々には、打ってつけの資産形成の手法だと考えられます。

投資する資産を決めて定期的に一定の金額で買い付ける方法を「定額購入法」といいます。

価格が高い時は少しの数量しか買えませんが、価格が下がった時には多くの数量を買えますので、長い目でみると購入価格が平均化されます。購入時期を「分散」することで、価格変動リスクを低減させる効果があります。
例えば100万円分の株式を一度に買ったら、その時の価格から上がったか下がったかでしかありません。上がるか下がるかは、誰にもわかりません。
購入時期を分散させる定額購入法の方が安心して資産運用できるのです。

積み立てる金額を決めたら、相場は気にしないで投資することを継続します。
買ったら忘れるくらいの気持ちで始めてください。
ある意味、「考えない資産形成」とも言えるでしょうか。


大切なのは、投資するタイミングではなく、投資することの「継続」なのです。

証券会社によっては、設定すれば自動で続けられる積立サービスがありますので、使ってみてはいかがでしょうか。
もちろん枠組みにとらわれずご自身で管理し、同じように投資していってもよいでしょう。

そして…、大事な運用資産に「保険」をかけることを忘れないでください。

これからの資産形成はこうなる?!


「資産運用・資産形成」の中心的な主役は株式・債券です。ただ時代や社会・経済状況は目まぐるしく変化しています。それに応じて「資産運用・資産形成」も中身が変わっていかないといけないのではないでしょうか。
国内の資産だけではなく海外も取り込み、また株式・債券だけでなく不動産関連や商品(コモディティー)関連なども運用ポートフォリオにほどよく組み入れていくことが肝要と考えられます。

とりわけコモディティーである「金」についてもう少し詳細な情報をお届けします。
実物資産である金の最大の弱点は、“金そのものは価値保存手段であり、配当・利息などの収益を生まない”ということです。ところがその金が今、投資家から人気を博しているのは主に以下の理由が考えられます。

①  「地政学的リスク」や「世の中の不安情勢」といったものが潜在的にあります。こういう環境下では、安全資産としての金は強いというのが一般的な考え方です。

②  需給面では、世界各国の中央銀行が金を買い進めています。イザッ!という時のための資金(外貨準備)として、安心感のあるどこの国にも属さない無国籍の金に焦点が当たっています。こうして買われる金は緊急避難的な時のために買われることから、まず“売却”されることはありません。これは需給面では、大きなプラス要因の一つとして考えられます。

「貴金属投資とは?」を今一度考えよう


ここで今一度、「貴金属とは?」 について、振り返ってみたいと思います。
資産の一部を「実物資産」である金やプラチナなどで保有することを、貴金属投資といいます。

主に投資対象となる貴金属は次の4つです。
・金(ゴールド) = 有事に強い「投資のメタル」と考えられています。海外の年金基金なども資産運用の投資対象としている資産です
・プラチナ      = 高価な宝飾品だけでなく、今後は水素エネルギー製造の触媒としての活用が期待されています
・銀(シルバー) = 太陽光発電パネルに使用されて注目度がアップしています
・パラジウム    = ガソリン車の排気ガス浄化の触媒として不可欠な貴金属です

流動性などの観点からすると、投資に最適なのは金です。貴金属投資に関心を持たれたら、「投資のメタル」である金からまず始めてみてはいかがでしょうか。

では運用資産の中に、どのようにして金を組み込むか?
例えば金の延べ棒を購入して手元に置いておくこともできますが、盗難のリスクも考えますと、あまり現実的ではないと考えられます。これらのリスクを回避する現実的な方法としては、貴金属を対象としたETF(上場投資信託)を購入する方法があります。ETFなら貴金属現物に投資するのとほぼ同じ経済効果が得られると考えられます。またETFは、口座をお持ちの証券会社で、株式と同じように簡単・気軽に売買できます。
金のETFの一つに三菱UFJ信託銀行の「金の果実シリーズ」があります。金額相当分の現物を国内で厳重に保管しており他の同種の貴金属ETFにない特長があります。国内に現物の裏付けがあることから、投資家の皆さまからは「非常に安心感がある」とご好評いただいています。

「金の果実シリーズ」の特長


「金の果実シリーズ」には、金の果実・プラチナの果実・銀の果実・パラジウムの果実の4つがあります。

これらの特長は、以下のとおりです。
・株式と同じように、リアルタイムで価格を見ながら、簡単に売買できます
・価値の裏付けとなる現物を国内で保管しています
・金とプラチナは一定条件のもと現物に交換することが可能です
・少額から始められます(1口からの投資が可能です)
・「金の果実」の信託手数料は年0.44%(消費税込)、金以外の貴金属の場合の信託手数料は年0.55%(消費税込)と比較的低コストで投資が可能です

【証券コード】順番に並んでいますので覚えやすいと思います
金の果実:1540     プラチナの果実 :1541
銀の果実:1542     パラジウムの果実:1543

資産運用において金を保有することの意味


金は、世の中に異変があると輝く「安全資産」として知られています。「有事の金」ともいわれ、株式や債券の価格が急激に下がるような局面で値上がりする傾向があります。

本シリーズでは繰り返しになりますが、資産運用における「保険」の役割を持つと言えるでしょう。

不安・不透明・不確実・危険なことが、世界中で起きているのはご存じの通りです。実はこれは、金にとって保険機能が発揮しやすい環境なのです。みなさんが近頃心配されている、インフレと円安。銀行に預けているだけでは、お金の価値は目減りしていきます。ところが金は、物価が上昇すれば価格が上がる傾向があり、インフレへの備えにもなります。また世界の中心的な金の価格は、ニューヨーク市場(ドル建て)で決まりますので、円安への抵抗力もあります(国内で海外資産に投資している場合、円安の方が有利)。

就職や結婚を機に、生命保険に入る方も多いでしょう。
それと同じように、金は、不安なときに力を発揮する「保険」の役割を果たすと期待されているのです。

ただし、金はあくまで脇役。名バイプレイヤーのような存在です。
投資の中心となるのは、先進国の株式と債券です。ところが、株価は変動幅が大きく、いきなり下がることもあります。債券も最近は金利の変動により価格の変動が大きくなっています。株式と債券だけで安心して資産運用できるでしょうか? リスク分散を図る上でもREIT(不動産投資信託)や新興国の株式・債券などを組み入れて、分散投資を行います。金も分散投資の選択肢の一つです。運用資産の5~10%程度がよいと筆者は考えます。ウクライナや中東有事のようなことが起きれば、一時的に30%に増やすのも一案ですが、基本は5~10%程度と考えています。
逆に金を50%にするのは、「金に対する集中投資」となりますので、ご注意ください。

さて本シリーズで金を取り巻くいろいろなことを書いてまいりましたが、次回の第6回でひとまず本シリーズは終了します。

資産運用を契機に人生における運用の意味・意義などについて筆者なりの見方を書いてみたいと考えております。

それでは最終回の第6回へのアクセスも期待しております。