国際金価格が、膠着状態から、ようやく脱出する兆しが見え始めた。

4,000ドルの大台を大きく割り込むことなく、底値圏を形成して、レンジから上放れ、本稿執筆時点の6日早朝には4,270ドルをつけている。

この上げがホンモノか。まずは、明日7日発表予定の7月雇用統計の結果次第とも言えようか。

今回の金急騰の最大の理由は、米国、オマーン、イランがホルムズ海峡開放に向け、合意したとの報道。
既に、原油価格は急落した。

更に、今週、相次いで発表された米国雇用関連指標が、労働市場の不安定化を示唆していることも重要だ。
雇用が減れば、FRBとしても、利上げはしにくくなる。

次回9月16日開催のFOMCでの利上げ確率は、55%だが、この1週間で、僅かながら減少した。
「僅かながら」でも、金市場は利上げ確率上昇を覚悟していたから、安堵するのだ。少なくとも、更に上昇しなくて良かったという感覚だ。

ここで注目された米労働指標を見てみよう。

給与計算代行サービス大手のADPが5日に発表したデータによれば、7月の民間雇用者数は4万4,000人の増加にとどまった。
事前予測の7万5,000人、更に、6月の9万5,000人(下方修正後)を大きく下回る水準である。

更に、4日に発表された6月雇用動態調査(JOLTSと呼ばれる)によると、求人件数数が前月から17万8,000人減少して、735万9,000件となった。

未だ、これをもって労働市場悪化とまでは言えないものの、先行きは油断できない、と市場は身構える。

総じて、米国で失業が増えれば、経済の過熱によるインフレの可能性は薄れ、インフレ退治のための金融引き締めの必要性も薄まるから、金価格には追い風になるのだ。


それから、韓国の中央銀行が、金ETFを購入したと発表したことも注目材料となった。更に、韓国内で生産された金の一部を中央銀行が買い上げるとの方針も示された。韓国の国内金生産量といっても、数トン。韓国中央銀行の金買い方針も既に明らかにされてはいたものの、市場では好意的に受け止められた。

詳細は以下の朝鮮日報記事参照↓
13年ぶりに金を買う韓国銀行…「金ETFはすでに購入」-Chosun Online 朝鮮日報
https://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2026080480143


韓国といえば、アジア経済危機の際に、極端な外資不足に陥り、家庭内に眠る金製品を供出するように呼び掛けた。供出といっても、国が買い取る仕組みだ。その結果、なんと200トン近くの金製品が集まり、それをロンドン市場で売却。貴重な外貨調達となった事例がある。
本欄2019年11月7日づけで、詳述したところだ↓
韓国の「有事の金」 | 豊島逸夫による金市場の解説 ブログ一覧 | 豊島逸夫による金市場解説 | ブログ | 「金の果実」シリーズ|三菱UFJ信託銀行
https://kikinzoku.tr.mufg.jp/ja/blog/market/archive/archive-921518260083606363472.html

もし、日本が経済危機に陥ったら、国民は金を供出するかなぁ~~