ゴールドは今年の1月29日に5,594ドルという歴史的高値を更新してから、現在は4,032ドルとほぼ28%の下げとなっています。ここまでゴールドが下げた背景はなぜなのか、そしてこれからどうなるのか、少し長くなりますが、筆者が考えるところをつれづれに書いてみます。
「上がり過ぎ too much too soon」
まず最も大きな理由は昨年からゴールドがあまりにも短い間にあまりにも上がり過ぎたのがこの最大の理由だと私は考えます。昨年2025年年初は2,600ドルであったゴールドが2026年には5,594ドルまで上昇しました。たった一年でこれだけの上昇は過去にほぼ例がありません。この上昇相場では、これまでゴールドとは無縁であった投資家を大量に巻き込んで行きました。特に昨年後半は、株式市場や暗号資産を大きく上回るパフォーマンスに乗り遅れまいと新しい投資家が大量参入してきたのです。まさにバブルであったと言われても仕方ありません。特にそれが破裂したのは5,000ドルという大台を超えたことによって、5,500ドルまでほんの3日間で10%上昇したのです。そしてあまりにポジションが膨れたことに先物取引所は臨時増し証拠金を課すことにしました。筆者はそれが今回の下げのきっかけになったと感じます。先物をレバレッジをかけて買っている投資家にとって、追い証拠金は突然資金負担を大きく増やすことになり、多くの投資家にとっては持っているポジションの手仕舞い、つまり売りをほぼ強制させるものでした。彼らがロングを売り戻すためにゴールドの価格は下がり、それに耐えきれなくなった別の投資家も売りに走り、まさに売りが売りを呼ぶ展開となり、大きな下落となったのです。そう考えるとこの下落はまさに上がり過ぎた相場に対する、来るべきとしてきた売りだったと思います。

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- (過去3年のゴールドと米長期金利の動き)

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- (2026年の年初来の動き)
「現在の市場の状況」
・投資家の大部分は天井でもっとも強気になり、ドン底で弱気になる。「安値を買って高値を売る」理屈では分かっていても多くの投資家は全くその逆をやる。
「なぜ現在ゴールドが売られているのか」
・機関投資家、個人投資家がゴールドを売っている。
1. 2025年年初2,600ドルから2026年1月5,600ドル手前まで、ゴールドは上がり過ぎた。Too much too soon.
2. 米・イラン戦争により、ホルムズ海峡が閉鎖され原油の流れが止まったことで、インフレ懸念が高まり、FRBの金利上げ予想が強くなった。

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- (ETFの資金の動き)
「この下落を積極的に買っている中央銀行」
・ゴールドの価格下落が中央銀行のゴールド買いを積極化させている。6月は41トン。中国は2月1トン、3月5トン、4月8トン、5月10トン、6月15トンと価格の下落に応じて買いの量を増やしている。
・WGCの中央銀行調査では、45%の中央銀行が1年以内にゴールドの持ち高を増やすと回答。
「過去の経験」
過去20年の下げの記録を調べると、2008年のリーマンショックでのゴールドの下げ、2020年のコロナショックの下げ、そして今回2026年の下げもすべてほぼ27~30%の下げとなっています。ということは、約30%下げれば、まず下げ局面は終わりということであったということです。今回の5,600ドルから4,000ドルへの下げがまさにそれくらいの下げにあたります。前回2回の下げのあとでゴールドが大きく上げたのは現在のレベルから考えても明白です。

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- (過去20年間のゴールドの動きと大きな下げ)
「長期的にゴールドが上がる理由」
1. 「止まらない米国の連邦債務増加」

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- (米国債務とゴールド過去55年の流れ)
この借金に対する過去1年の利払いは$1.35兆ドル。このまま行くとSocial Securityを超えて米国連邦予算の最大のアイテムになりそうです。これはどう考えてもsustainable ではないと思います。この米国の財政状況においてゴールドが下がっているときに我々がすべきことはゴールドを買っておくべきという風に思えます。上のチャートをみてもわかるように、過去55年間、米国債務の増加とともにゴールドは価格を上げてきました。要は国債を発行することで米国は借金に借金を重ねてきたわけです。通貨量は増加し、それによってゴールドの相対的価値は上がってきました。そして今トランプ政権は、イランに対して湯水のように軍事費を使っており、これを調達するには増税か借金しかないわけです。債務残高が加速的に増え続けているのも当然でしょう。

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- (連邦債務への利払い)
そしてさらに大きな問題は長期金利が上昇していること。現在10年長期金利は4.61%。前回長期金利が5%であったのは2007年。そのときの連邦債務は9兆ドル。現在はその4倍以上の債務となっており、この長期金利の上昇は利払いに大きな影響を与えます。米国の財政は相当やばい状況にある。まさに安いうちにゴールドを買っておくべき状況ではないでしょうか。

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- (長期金利とゴールドの動き:過去20年)
2. 「通貨のDebasement」
・ 現在の金利高予想でゴールドが下がるは超短期的な動き。
・ インフレはゴールドにとっては本来強気材料。
・ マネーサプライはパンデミック以来それまでなかったスピードで増加。
・ 1970年代のインフレ時期、現物資産は大きく上昇。
・ インフレ上昇その結果金利上昇だからゴールドを売る、は間違い。この短期的な間違いでゴールドの価格が下がっている今の状況。
・ おそらく将来になって振り返るとあの時は千載一遇の買いチャンスだった、となるのではないか。

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- (1971年からのドルの購買力の動きと1000ドルで買えるゴールドの量の変化)
「ゴールドは1万ドル、シルバーは300ドルへ」
元GSの著名なコモディティアナリストであるJeffrey Currrieはそう言っています。
その理由として彼が上げている第一の理由はディベースメント。つまり通貨の価値下落です。これは僕が日頃言っていることと全く同じ。この戦争のために、人々はインフレはゴールドに対して弱気材料と取るようになっています。それは金利が上がるという恐れのためです。しかし、それは間違いです。インフレ=通貨の価値下落はゴールドには強気要因です。
1970年代のインフレの経済ではゴールドは24倍に、シルバーは29倍になりました。
戦争はその本質的にインフレを引き起こし、インフレはゴールドのようなハードアセット=現物資産の価値を引き上げます。
米国のマネーサプライはパンデミック以来それまでなかったようなペースで増加を続けています。その結果インフレがどうなったかを我々は実際今みているわけです。
通貨はゴールドやシルバーに対してdebase(価値減退)を続けます。つまりゴールドとシルバーの価値は通貨に対して上がりつづけるということです。
インフレ上昇その結果金利上昇だからゴールドを売る、は間違いです。我々が見ているこの短期的な間違いでゴールドの価格が下がっている今の状況は、おそらく将来になって振り返るとあの時は千載一遇の買いチャンスだった、となるのではないでしょうか。
以上


