「シルバーの現状」
シルバーは1月29日になんと121.64ドルという歴史的高値をつけました。2025年年初の29ドルからなんと4.2倍になったことになります。これはさすがにちょっと上げすぎであり、その後は大きく値を下げて、この原稿を書いている9月半ば現在シルバーは64ドル台で推移しています。最高値からの下げは大きいのですが、それでも実は2年前を起点にしてみると、シルバーは最も上がっている金融資産なのです。過去2年間をみると株、暗号資産、貴金属、すべての資産が上昇しています。中でも貴金属が好調であり、シルバー110%、ゴールド84%、プラチナ83%、日経平均76%、S&P500 35%、ビットコイン26%。120ドルまで上げたことが記憶に強すぎるために、シルバーに否定的になっている投資家も多いようですが、長期的視点でみれば実はシルバーのパフォーマンスはどの金融資産よりも優っているのが現実なのです。

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- (貴金属と株、暗号資産の過去2年間のパフォーマンス)
「シルバーのここから」
それでは今後のシルバーの見通しを考えてみましょう。今年の年初は71.20ドルから始まったシルバーは1月29日には121.64ドルまで上昇しました。これが現在のシルバーの歴史的高値です。そこから急落し、翌日には73.70ドルまで下げ、一日で約39%以上下げたことになりました。まさに暴落の一日でしたが、結果的に年初から一ヶ月の急騰を一日で吐き出した形となり、要は上げすぎていたことが、この急落の最大の原因です。特に昨年後半から1月末に至るまでの上げ方は尋常ではありませんでした。上昇すればするほど新しい投資資金が入ってくるという展開であり、昨年の貴金属のパフォーマンスが、株や債券、暗号資産を大きく上回っていたことから、資産運用のパフォーマンスを上げるためには、貴金属に投資をしないことには話にならなかったのです。こういったFOMO(Fear of missing out:乗り遅れの恐怖)も手伝い、短期的投資資金が大量に貴金属に入り込んできたためです。特にシルバーはそれが顕著でした。ゴールドと比べると価格が70分の1と安く、ゴールドほどの流動性も無いことからその上げ方はより激しいものとなりました。しかし、逆にそれが下落時の激しい下げに繋がったと言えます。ほぼ短期投資家の動きによりこの暴騰暴落が起きたと言っていいでしょう。そういう意味では121ドルから、ほぼ半分のレベルのまで下落して、短期投資家のポジションはほぼ整理されたのではないでしょうか。

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- (過去2年のシルバーの動き)
1月29日に歴史的高値121ドルを付けたあとの大きな調整の動きでつけた安値が54.74ドルでした。これはまさにゴールドが4,000ドルの下値を形成していた7月の一ヶ月間に当たります。ゴールドとシルバーの関係を考えると、このゴールドとシルバーのシンクロナイズした動きは非常に象徴的だと思います。ゴールドと同様にシルバーも7月一ヶ月の55-60ドルの動きで底値は固まったのではないでしょうか。ゴールドとともに最高値からの大きな修正の動きは終わり今後はじわりとゴールドとともに本来の上昇の動きに戻るのではないでしょうか。

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- (年初来のゴールドとシルバーの動き)
「シルバーとAIデータセンター」
シルバー重要の60%は産業需要であり、その中心は今まで太陽光発電とEVでの用途でした。シルバーは全貴金属の中で最高の導電性と熱伝導性を誇り、その性質での用途は増える一方です。太陽光とEVに加えて近年急速にシルバー需要が伸びてきているのがAIデータセンターです。AIデータセンターの電気需要は2025年の増加率はすでに17%となっており、2025-2030年の5年間でほぼ倍になるというIEA(国際エネルギー機構)の見通しになっています。この電気周り需要は当然その「機材需要」につながります。スイッチギア、バスバー、ハイパワーコネクターと言った機材はすべてシルバーが使われます。米国では2025年11月にシルバーは正式にクリティカルミネラル(重要鉱物)として登録されました。

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- (AIデータセンターの電気需要とシルバー価格の比較)
この分野の伸びは、FRBの金利政策や中央銀行、そして価値の保存のための投資など、ゴールドの主要な役割と言える「買いの要因」とは全く関係のない分野です。これらの分野はシルバーにとってもプラスであることは確かですが、それに加えて、この比較的新しいAIデータセンターの電気需要からのシルバー需要、そして太陽光とEVは、金融とは全く関係のないところです。シルバーにはゴールド以上の強気要因が存在すると言っていいでしょう。上がり過ぎたポジション調整が終わった今、上値の可能性はゴールドよりも大きいと言えます。これらの需要分野の影響に投資家が注目を始めるとおそらくその上昇の勢いはゴールドのそれをはるかに超えたものになるのではないでしょうか。我々はそんな動きを昨年目の当たりにしたばかりです。60ドル近辺はそういった観点からは買っておいてもよいのではないでしょうか。
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