6月4日にMetals Focus社の「Gold Focus 2026」が発表となりました。
今回はここから昨年のゴールド相場のまとめと最新のゴールド需給を見ていきます。
「2025年のゴールド相場」
・2025年のゴールドは2,600ドルから始まり、12月には4,550ドルまで上昇し、その上昇は2026年1月に5,595ドルをつけるまで続きました。2025年に歴史的高値の更新は56回、そして2026年に入ってさらに12回というまさに記録ずくめの1年となりました。その原因のほとんどはトランプ政権の予見不可能な動きからの地政学的緊張と緩和的な財政政策の継続にありました。
・その結果として米ドルに対する信頼は大きく揺らぎ、中央銀行のドル離れの動きが加速、その資金がゴールドへと流入しました。2025年の中央銀行のゴールド買いはその前の3年の1,000トン越えは続きませんでしたが、それでも848トンは2021年までの過去10年間の平均である481トンと比較すると非常に大きな数字である(米ドルベースで考えるとゴールド価格がはるかに上昇したため)と言えます。
・また大きく上昇となった株式市場もまたゴールドの上昇を助けました。株式の上昇により、そのヘッジと資産分散のためのゴールド買いが盛り上がったということになります。
・ 2026年の年初は最初に触れた通り、1月に大きく上昇が続きましたが、さすがに買われ過ぎから大きな修正の下げとなりました。そしてイランでの戦争はゴールド価格に下圧力をかけることとなりました。原油の価格上昇により、インフレの高まりが予想され、期待されていた利下げが遠のくという形になったためです。しかしながらその他の2025年のゴールド上昇の背景は今でもそのまま変わっておらず、これは2026年年内もそれを超えても同じでしょう。

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- (過去2年のドル建てゴールドの動き)
「ゴールドの需給」

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- (最新ゴールド需給表)
1. 供給
・昨年のゴールドの需給は「まちまち」でありました。鉱山生産は前年比2%増加して3,817トンとなりました。リサイクルは2.8%増加。ゴールドのドル建て平均価格が44%も上がり、他の通貨ではもっと上がったことを考えるとこの生産量の伸びはあるべき姿だと思いますが、リサイクルの伸びは予想よりも比較的少ないものでした。それはゴールドに対する強気の買い意欲が強く、結果的にリサイクルへの売却が減ったからだろうと考えられます。この傾向は2026年も続くと予想されており、鉱山生産量予想は3,907トン。
2. 鉱山生産国と生産コスト
・生産国のトップ10は2024年と変わらず。年間全生産量の55%を上位10ヵ国が生産しています。中国が384トンで1位。2位はロシアの345トン。300トンを越えるのはこの2ヵ国だけであり、これに続いて200トンを越えるのはオーストラリア、カナダ、ペルーの3国。100トン台は、ガーナ、米国、ウズベキスタン、メキシコそしてインドネシア。他の貴金属に比べるとゴールドは世界中で採掘されていると言えます。
・ゴールド鉱山生産コストは前年比12%の1,552ドルとなりました。もっとも上昇したのはロイヤリティーコストであり、これは鉱山を開発するためのその地域や国が課す権利金といったものです。インフレによる資金コストや人件費そして消費財コストの上昇もあります。コモディティ価格の上昇、そして関税の上昇もコスト上昇の要因になりました。しかし、ゴールドの価格自体の上昇がそれをはるかに上回ったために、世界の鉱山会社の利益平均はオンス当たり1,879ドルとなり、前年比で87%の上昇で、99%の鉱山会社が利益をあげています。
3. 需要
・需要サイドでは、ゴールド価格の上昇から宝飾需要は、特にその中心国であるインドと中国での減少が目立ちます。対照的に現物投資は前年比16%の上昇となり、これは過去12年で最大となりました。これをドルの価値で考えると前年比は67%にまで上昇します。昨年のゴールド投資の盛り上がりがこの数字にあらわれていると言えるでしょう。この投資の盛り上がりの背景はさらなる価格上昇予想と経済と地政学の先行き不安がその背景。
・ゴールドの需要の最大の特色は、ほとんどの需要がそのまま持つためのものであるということです。産業用の加工需要はわずか7%に過ぎません。昨年は宝飾需要が減少した分、投資需要が大きく伸びたと言えます。
4. 中央銀行の買い
・中央銀行の買いは2022年から3年続いた1,000トン越えとはならず、2025年は848トンでした。しかし、金額ベースでは、ゴールド価格の大きな上昇のために、過去最大の買いとなりました。2010-19年の平均と比べると848トンはいまだに70%も多い数量です。2025年前半もこの勢いは続いており、今年もおそらく昨年同等の量の中央銀行のゴールド買いが続きそうです。
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