今回はプラチナの動きにフォーカスしてみましょう。

1. 大きく変わった昨年のプラチナマーケット

(ドル建てプラチナ過去20年の動き)
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(ドル建てプラチナ過去20年の動き)

プラチナは近年長い間1,000ドルが近辺での動きがずっと続きました。それが変わったのは昨年2025年5月からでした。ロンドンプラチナウイークで、WPIC(World Platinum Investment Council )上海の代表であるWeibin Deng氏が、Bloombergでのインタビューで、中国の旺盛なプラチナ買いに関して述べたことがそのきっかけになったと思います。確かに昨年の4~6月の中国のプラチナ輸入量は各月12トン前後という記録的な輸入量となっていました。2025年の輸入量は97.4トンとなり、年間の世界のプラチナ生産量が約170トンであることを考えるとその6割近くを中国が吸い込んでしまったことになります。

このためプラチナの金利であるリースレートは、貴金属の中でも非常に高いレベルで推移しています。10月には一ヶ月のリースレートが40%まで跳ねました。その後も15%という高いレベルで推移が続き、現在はそこから9%程度まで下げていますが、それでも他のメタルと比べると圧倒的な高いレートとなっています。

ゴールドはゼロ金利であるのに対して、この原稿を書いている現在でもプラチナは8.9%もあります。このレートはロンドン(もしくはチューリッヒ)でのプラチナアカウントでの貸し借りのレートであるわけですが、ロンドンのアカウントにゴールドは十分にあるために、ほぼただに近いレートのですが、プラチナは9%の金利を払わないと借りることができないということです。それだけプラチナがタイト(現物が逼迫している状態)なのです。

その大きな原因はやはり中国の買いと言えるでしょう。中国ではプラチナの輸出は正規ルートでは禁止されています。そのため一度中国が輸入したプラチナは出てくることができません。これは量の圧倒的に限られたプラチナにとっては大きな影響があるのは当然でしょう。

(プラチナリースレート1ヶ月物の動きとプラチナ価格)
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(プラチナリースレート1ヶ月物の動きとプラチナ価格)
(貴金属のリースレート 2026/03/27現在)
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(貴金属のリースレート 2026/03/27現在)


2.年末からの急騰劇とその後の下落
さて天井である1,000ドルをブレイクしたプラチナは、その後上昇を続け、特に12月からの上昇はまさに急騰と言えるもので、1,700ドルから、2026年初にはそれまで歴史的高値であった2,300ドルを突破、1月末には2,900ドルまで上昇しました。さすがに特に12月からの急騰は、貴金属すべてがこれまで見たことがないほどの大きな投資家の買いに飲み込まれたような動きでした。

特に何があったわけでもなく、あえていうとすれば、買いが買いを呼ぶ展開になったということです。特にそれが顕著であったのがシルバー。そしてプラチナ、ゴールドもそれに続きました。
しかしこの上げはやはりあまりにやり過ぎであったと言えるでしょう。新たな投資家が先物市場でレバレッジをかけてロングを積み上げて行きました。そのためほんの10日間ほぼ一週間の間に2,300ドルから2,900ドルまで600ドルも上がった訳です。これは明らかにやり過ぎ。この急騰がその後の急落の原因となりました。

世界最大の先物市場であるCME(Chicago Mercantile Exchange)が、このあまりのボラティリティに対して証拠金を大きく引き上げ、買いポジションを持ち続けるためには、証拠金を追加で納める必要があり、それを嫌った投資家が一斉に買いポジションを手仕舞う、つまり売りを出した結果、売りが売りを呼ぶ展開となり、それ以降3月中頃には2,000ドルを割り込み、この原稿を書いている3月最終週現在、1,862ドルと昨年12月半ばからの上昇をすべて消した形になっています。

(プラチナ過去6ヶ月の動き)
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(プラチナ過去6ヶ月の動き)


3.今後の展開は?
昨年年末からの大きな上げがほぼ解消された現在であるが、これは過度に入っていた投資家のポジションが整理された結果と言えるでしょう。現在の価格はそういった意味では無駄がそげ落とされた状態。

実際の需給をWPIC(World Platinum Investment Council )は今年2026年も供給不足という予想をあげています。これで4年連続の供給不足となり、それをカバーするための地上在庫は、2025年末で推定88.7トン、これは世界需要のわずか4ヶ月分相当に過ぎません。

ここからは投資家の行きすぎた買いポジションもほぼ一掃されたため、より、この需給が価格に反映されていくのではないでしょうか。プラチナのリースレートは9%と非常に高いレベルのままです。急激な上げではなく、じわりとふたたび2,000ドルを向かっていくという上げ方をしていく、という展開になるのではないでしょうか。

以上