ハノイで2回目の歴史的米朝トップ会談が進行中にもかかわらず、米国民、そしてNY市場参加者の注目は「マイケルコーエン元トランプ大統領顧問弁護士」のトランプ大統領浮気問題に関する議会「爆弾」証言に集中している。
同時進行したパウエルFRB議長議会証言が、実はマーケットには重要要因なのだが、コーエン旋風に吹き飛ばされた感がある。
近隣国の北朝鮮ミサイルリスクに揺れた昨年の市場で、日本国内では「モリカケ」問題に明け暮れたことが思い出される。どの国も、やはり、国内問題が最優先となるようだ。
トランプ氏の浮気相手とされるポルノ女優ストーミー・ダニエル嬢は、今や米国で最も注目される女性の一人であろう。「トークショー」などのイベントに招かれ、全米を行脚している。米国の日曜長寿人気番組「60ミニッツ」に生出演してぶちまけたときは、あまりに生々しい話に、翌日の米国高級紙記事も、夕刊タブロイド並みの様相を呈したものだ。
問題視されているのは、件の女性に払ったとされる「口止め料」13万ドルだ。このスキャンダルの登場人物は、トランプ氏、コーエン氏、そして大統領選挙トランプ陣営CFO(最高財務責任者)ワイゼルバーグ氏。
27日の議会証言では、コーエン氏が完全に開き直った。既に3年の実刑を受けているからだ。涙をこらえ、「家族とも会うことができなくなる」と語り、トランプ氏への積年の不満を絞り出すように、同氏の言い分を議員たちにぶつけた。
口止め料に関しては、トランプ氏が「13万ドルだ。大したカネではない。やれ。」と命じたという。「そのカネが追跡調査され、大統領選挙に悪影響を与える事態を回避するため、コーエン氏の私的マネーから拠出せよ」と言われたという。コーエン氏は、同席していたワイゼルバーグ氏に、支払いを依頼したが、断られた。そこで、ワイゼルバーグ氏は「(トランプ)ゴルフクラブのメンバーになりたがっている人物はいないか」ともちかけたという。結局、コーエン氏が支払うことになった。
そこで、問題は、コーエン氏への弁済になる。
27日の証言では、トランプ氏、ワイゼルバーグ氏同席のもとに、コーエン氏が私的資金から支払ったが、弁済されていないとの書式を作成したという。
更に、トランプ氏は「弁済は大統領の知るところではない」と語るように依頼してきたとも証言した。
「マイケル(コーエン氏のファーストネーム)、心配には及ばぬ。FEDEX便で弁済の小切手をNYから送った。ホワイトハウスを通すので、多少時間はかかる」と言われたともいう。
その小切手も提出された。
そして、大統領選挙での情報流出の件。
コーエン氏は、民主党大会前、トランプ氏執務室で、トランプ氏非公式顧問のロジャーストーン氏とトランプ氏のスピーカーフォーンを通じての会話を暴露した。
「よし!数日以内にクリントン陣営に大ダメージの書類がどさっと大量に公開される」と語ったという。
コーエン氏は、まだ「隠し玉」を持っているかもしれない。モラー特別検察官が決定的な証拠を握る可能性も指摘される。
いよいよお尻に火がついたトランプ大統領にとっては、「ノーベル平和賞級」ともいわれる米朝融和を、国民向けにアピールしたいところだ。しかし、米国人家庭のテレビ画面に映るのは、ハノイではなく、もっぱらコーエン議会証言であった。
米中通商協議も、果たして、「勝利の凱旋」となるか、まだ、不透明だ。27日には、ライトハイザー通商代表も、議会証言で慎重な見方を語った。トランプ大統領との溝も深まる。報道陣の前で、米中覚書の様式について、意見の違いを公然と露わにしたばかりだ。
米中通商協議で覚書が交わされたとしても、問題は、その実行検証法だ。スタッフレベルで毎月、副閣僚級で毎四半期、閣僚級(ライトハイザー通商代表と中国副首相)で年2回のレビューという案が予想されている。
注目の「為替条項」は、通貨安競争回避の誓約文と人民元相場介入に関する透明性を高めることが想定される。
しかし、その具体性は極めて曖昧だ。
結局、NY市場は、ハノイと議会証言の画面を見比べつつ、売買判断は出来かねる状況である。
そのなかでNY金は1320ドルを割り込み、調整モード。例によって、大きく動いたあとには膠着が続く。
インド・パキスタンの核保有国が、戦争状態に突入したが、カシミール国境問題は歴史も古く、もっぱら、選挙控えたモディ首相の愛国心を訴求する戦術と見られる。
そして、写真は、おなじみマガーリ@自由が丘。
フキノトウとゴルゴンゾーラチーズのリゾットが絶品だったな。独特の山菜の自然の苦みと、ゴルゴンゾーラのちょっと癖ある風味の相性が抜群。この意外なコラボはシェフのセンスだね。そして、ゴルゴンゾーラ・アイスクリーム。これも意外性があるマガーリの定番なんだけど、ほかにはお目にかからない絶品なのだよ。