今日は先日読売新聞に寄稿した元原稿です。
【中央銀行のゴールドラッシュ】
ロシア中国そして新興国が外貨準備のなかで、金を買い増し、ドル保有を減らしている。
基軸通貨ドルへの信認が低下しているのだ。トランプばらまき政策のツケは、結局米国債増発により賄われる可能性が強い。米国債格下げのシナリオも語られる。そこで、ロシアや新興国が、ドルを見切り、金を買っている。
更に、中国は3兆ドルを超すダントツの世界最大外貨準備保有国だ。
その大半が、対米貿易で稼いだドルである。その結果、中国は米国債の最大保有国となってしまった。そこで、中国人民銀行は金準備を増強させている。
なお、米国債は米中貿易戦争で中国の「武器」にもなっている。中国が米国債をNY市場で売れば、ドル金利は急騰し、マーケットは大混乱に陥るからだ。
日本の金保有が少ないワケ
中国側の視点にたてば、金は発行国がない「無国籍通貨」ゆえナショナリズムの匂いがしないので、外貨準備として保有するには好都合だ。大統領の言動で発行国通貨の信認が揺らぐこともない。ユーロ危機のときには、欧州国債が売られるなかで、国際金価格が史上最高値をつけた事例もある。
そもそも金本位制は過去の遺物となったが、各国は表のごとく大量の金を外貨準備として保有している。米国は「金廃貨(金は通貨にあらず)」を標ぼうしているのに、外貨準備として8000トン以上の金を依然保有している。対照的に、外貨準備における金の割合が異常に低い国が日本だ。米国債保有を減らし、「金買い」に走ることを、外交上の配慮から控えてきた。現大統領トランプ氏は「ドル安」を好むが、米国債を売られても困る。米国に遠慮することなく、金で資産防衛できるのが、個人投資家となろうか。
表 国別公的金保有量ランキング
トン | 外貨準備の 金の割合(%) |
最近の増減傾向 | ||
1 | United States | 8,133.50 | 74.80% | ― |
2 | Germany | 3,369.70 | 70.10% | ― |
3 | IMF | 2,814.00 | 1) | ― |
4 | Italy | 2,451.80 | 66.30% | ― |
5 | France | 2,436.00 | 60.20% | ― |
6 | Russia | 2,113.00 | 18.50% | ⇑ |
7 | Mainland China | 1,852.50 | 2.40% | ⇑ |
8 | Switzerland | 1,040.00 | 5.40% | ― |
9 | Japan | 765.2 | 2.50% | ― |
10 | Netherlands | 612.5 | 65.60% | ― |
以上。
そして、今日の写真は、早くも白アスパラ。そして、鹿肉の赤ワイン煮@自由が丘マガーリ。