昨晩のNY市場では、ドル円相場に異様な注目が集まっていた。
筆者のところにも、NYの仲間たちから、日銀利上げ等の件で、諸々問い合わせが相次いだ。これまでBOJなど、スルーされていたので、珍しい変化だ。
NY外為市場での人気通貨ペアも、これまでの、ドル・ユーロから、ドル・円にシフト。投機的に円を売買するNY市場関係者が間違いなく増えてきた。
この現象を快く思わないのが、ベッセント財務長官。
既に、日米協調外為介入を行ったので、後には引けない。
そこで、飛び出した発言が、キツイ表現だった。
円相場について「I am the house!」と大見得を切って見せたのだ。
このスラング的表現の意味は「俺が胴元!」。「だから、必ず勝つ!」と断言したのだ。ヘッジファンド出身の財務長官が、元同僚たちに、挑戦状を叩きつけた感がある。
ベッセント氏は、更に「私は、日本側も含め、諸々内部情報を把握している」とも語った。
筆者には、ベッセント財務長官の焦りとしか思えないのだが。NY市場の投機筋は、さすがにビビったようだ。NY時間中に154円台まで戻したが、結局、153円台で帰ってきた。
なにゆえ、ベッセント氏が、それほど、円安是正にこだわるのか。
まず、円安の理由の一つが、高市内閣の積極財政に対する不安。日本国債の売却傾向が強まると、米国国債売りに波及する可能性が高い。NY債券市場では、米国債最大保有国日本の存在感が強いのだ。
更に、日銀利上げで円高ということになると、海外に投資されていたジャパンマネーが、「金利ある時代」に入った日本に戻ってくる可能性。米国側から見れば、ジャパンマネーが米国債保有を見切り、円建て資産に「里帰り」(レパトリ)するシナリオを危惧しているのだ。
結局、ベッセント財務長官は、日銀総裁に利上げのプレッシャーをかけ、日本の首相には、リフレ政策を抑制するように強く求めている。それも、強い表現で。大きなお世話だけどね。
来週には、日銀とFRBの金融政策決定会合が開催される。
米財務長官として、米金融政策担当のウォーシュ議長に、「利上げは待ってくれ。利下げも考慮してくれ」とは、絶対に言えない立場だ。
かくして、今週は、米CPI、そして、ちょっとした要人発言に市場がどのように反応するか。
その感応ぶりを見て、ウォーシュ議長が、政策金利据え置きか、利上げ決行が、決断することになろう。それがウォーシュ流。
FRBが基本的金融政策の方向性を明らかにして、市場が、FRBの動きに反応するパウエル時代は終わった。
金市場の視点では、据え置きとなれば、反騰しよう。
利上げとなれば、かなり織り込まれているものの、基本的には逆風。
仮に、年内2回利上げともなれば、さすがに金には、きついね(勿論、2回の可能性は極めて低い)。
総じて、ウォーシュ議長次第で、中期的金価格回復の時期が遅れるリスクもあることは頭の中に入れておく必要があろう。ここは、中期的な正念場といえる(長期上昇トレンドは変わらず!)。
なお、昨晩は、中東情勢悪化による原油価格急騰により、金価格には下げ圧力がかかった(KITCOグラフ、緑線)。
先が読めない中東リスクの影響も無視できない。


