今回の金価格上昇局面で、安全資産とされる米国債への不信が理由に挙げられ、債券市場の動きとの連動が意識されている。
しかし、一般投資家にとっては、債券市場は、分かりにくく、特殊な専門用語に戸惑うことも多い。
その一例が、ターム・プレミアム。
実は、昨日収録したyoutubeでも、冒頭に、いきなり米国債の「ターム・プレミアム」が上昇中という話をしてしまった。
そもそも、この用語は、米国債などの長期債を保有する際に、投資家が要求する上乗せ金利のことである。米国債を買うということは米国にカネを貸すことで、債権者の立場では、貸付期間が長い、或いは、信用状況が不安定だと、焦げ付く可能性もなしとしない、となれば、そのリスクを補填するため、上乗せ金利を要求する。
それをターム・プレミアムと呼ぶ。
その値が、今年に入って、急上昇しているのだ。
セントルイス連銀のHPから、そのグラフを引用する。
https://fred.stlouisfed.org/series/THREEFYTP10
1Y(one year)のところをクリックすると、過去一年の米国債のタームプレミアムのグラフが出てくる。
特に、2026年7月から8月にかけて、0.6%台から0.9%台近くまで上昇中だ。
この時期は、金価格が4,000ドル台で、底値を切り上げる展開を見せた時期と一致する。
即ち、金市場が米国財政悪化を懸念して、安全資産として買われてきた状況の裏付けとなるのだ。
筆者が「今回の上昇相場はドルの価値下落ヘッジなどを目的にした、中長期目線の投資家を中心に形成されている」と分析する所以である。
なお、付け加えれば、財政政策不信と、金融政策不信が、同時進行で、共振している。それゆえ、持続性ある金価格上昇が見込まれるのだ。
但し、昨日本欄に書いたように、価格が急騰すれば、待ってましたとばかりに、短期投機筋(commodity trading advisor = CTAと呼ばれる一団)が、レバレッジかけて、一斉に金市場に入ってくるので、ボラティリティーは激しくなろう。レベル4の警戒警報を発出した所以だ。なにやら、ネットで「レベル4」だけが独り歩きしているので、気になり、本コラムで敢えて詳説した次第。
なお、NY金市場最前線では、元債券トレーダーが人事異動あるいは、金担当チームの増員として、いきなり働かされている。金についての知見は薄いが、債券のプロゆえ、いきなり活躍している。
社内でゴールド部門が格上げされるのは、おおいに結構なことだが、金には素人集団ゆえ、傍からみていると、ハラハラすることもある。結果的に、わけもなく、金価格が上がったり下がったりする事例が多いことは、投資家の立場でも当惑しているところであろう。
AIのゴールドトレーダーも徐々に増えている。特にNY市場では、構造的に大きな変化が起こっている。その結果のひとつとして、買いが買いを呼び、売りが売りを呼ぶ展開の頻度が高まっている。この傾向は、今後、更に、一般化してゆくであろう。
最終的には、AIがチーフトレーダーで、人間様は、顧客相手の説明・解説役=カスタマー・トレーダーになるというような事態も、現実的なシナリオと言わねばなるまい。
なおyoutoubeは、週末、楽待で公開予定だそうな。
最後に、金市場も、今晩のジャクソンホールでのウォーシュ講演に注目している。筆者は、結局、たいしたことは言えまいと見ているが、こればかりは、蓋を開けてみないと分からんね~~
札幌はすっかり秋めいてきて、コスモスが咲き始め、夜は虫の声がするよ。
添付は昨晩の写真だけど、お月様が出ている下に、黒い雲が不気味に漂い、レベル3の豪雨警報が発出されるという異常な状況。


