大地震が起きるたびに、金に関する新たなエピソードが生まれる。
 

東北大震災のときは、自宅保管の金地金が津波で家庭用金庫ごと流され、

回収された金庫についても、その中の金地金の所有権を立証するのが

難しかった事例などが聞かれた。そもそも、漁師さんの中には、

大豊漁に恵まれると、景気良く、金を買いまくる人が少なくない。
 

更に、漁師さんの妻の立場では、夫が海難事故リスクに常に晒されて

いるので、配偶者の死というリスクに備え、「有事の金」を持ち続ける

傾向が見られる。

 

関西淡路大震災のときは、焼野原と化した神戸の街が、テレビで生中継。

たまたま、居合わせた女性が、焼け跡から壺のような形状のものを

探し出し、しきりに、中を手で探っている。殆ど灰と化した内部を

丁寧に探っていたと思ったら、「あった!」と喜びの叫び。なんと、金貨が、

表面こそ、すすけているが、きっちり残っていたのだ。
 

それ以来、金は燃えない資産という認識が広まり、金購入者の意識調査で、

なぜ、金を買ったのか、理由を挙げるとき、関西地区に限り、「燃えない」

という回答が必ず見られるようになった。
 

筆者の記憶に残ったのは、「絵は燃える、器(うつわ)は壊れる、女は逃げる、

金は残る」という大阪の旦那衆のつぶやき。これぞ、金の本質を突いた名言だ。

 

それから、金ETFの裏付けとなる金現物の保管先(カストディアン)についても、
昔は、日本人のホーム・カントリー・バイアスが強く、国内保管に安心感を
覚える傾向があった。
しかし、大地震予測が流布されるようになると、海外に保管したほうが安全
ではないか、との個人投資家の考え方も見られるようになった。

 

地震と金の関係は、これからも、様々な展開を見せることになろう。