昨晩の注目はNY連銀ウイリアムズ総裁の談話であった。
「現在の政策金利は正しい位置にある。利上げも利下げもする必要はない」つまり、「据え置き」ということだ。

NY連銀といえば、FOMCでも特別扱い。常時投票権を持つ。(他の地区連銀総裁は、毎年交代で投票権を持つ)。
それだけに、発言の重みが違う。

ちなみに、昨晩は、シカゴ連銀のグールズビー総裁も発言。
こちらは、「ウォーシュ議長は正しい。利上げすべし。」

つまるところ、FRB内で、意見は割れているのだ。

確かに、ドット・プロットを見るに、利上げ賛成者が9人と多数派ゆえ、市場が見る年内利上げ確率も7割を超えている。

しかし、冷静に見れば、ウォーシュ発言だけで、いきなり利上げを織り込むのは、あまりに早計ではないか。
筆者は、今が、「利上げムード」のピークではないか、と感じている。

更に、昨晩はFRBが最も重視するインフレ指標である、個人消費支出(PCE)価格指数が発表された。中東紛争の影響でエネルギー価格が押し上げられたことから前年比4.1%の上昇。エネルギー・食品を除くコアの上昇率は前年同期比3.4%と市場予想と一致。インフレ圧力は強いものの、FRB早期利上げを更に強めるような数字ではなかったので、同統計発表後、金価格は反発した。織り込み済みとの理解である。

かくして、年内利上げを今の段階でフルに織り込むと、7月以降は、その吟味が市場内で始まるであろう。具体的には、利上げによる米国経済の負の効果も考慮されよう。
一番分かりやすいのは、利上げすれば、庶民の住宅ローン金利が上がるということ。
企業業績にも総じて圧迫要因となる。雇用にも悪影響が及ぶとなると、FRBは、雇用安定のための「利下げ」も考慮せざるを得まい。

ウォーシュ・サプライズが6月に起きたということは、年末まで、まだ半年を残す。今の市場で6か月は長いよ。
市場の景色ががらりと変わる可能性充分。

具体的には、例えば、依然、市場の底流に根強い「利下げ論」が勢いを得て、金の追い風になるシナリオになっても不思議はない。

こればかりは、経済データ次第で、神のみ知るところ。
足元では金価格が4,000ドルの攻防中である。
本稿執筆時点(金曜、スウェーデン戦直後、4,018ドル)。