本日はNY市場で、米消費者物価指数(CPI)が発表される。原油高などで上振れすると、金には強い下げ要因になるので、今週のメイン・イベントとして注目されている。

ところが、その前に、今日のアジア時間帯で、米イラン再交戦の報道により、金が急落。4,200ドル台を割り込み、4,100ドル台に突入した(緑線)。

今日は、今年年末を見据えた金価格動向を考察したい。

NY金市場では、短期的な投機売り圧力が強い。特に200日移動平均線を下放れたことで、テクニカル要因による見切り売りが目立つ。
この売り手仕舞いが一巡すれば、弱気派が抜け、長期保有派が残る。

市場内部要因としてAIトレード・プログラムが普及しているので、今は、売りが売りを呼びやすいが、ひとたび、一巡すると、買いが買いを呼ぶ、今年前半の買いフィーバー再現にもなりやすい。モメンタム・トレードと言われるが、投機買いが過熱すれば、4,000ドルが5,500ドルに変わることも、十分に考えられる。

年後半は、金利高が続くが、財政不安を意識した悪い金利上昇(日米国債売り)が顕在化しよう。ターム・プレミアム(上乗せ金利)も上昇しよう。

中央銀行の金買いも、今は、自国経済防衛のための外貨準備としての金が売られる傾向が目立つが、いずれ、買い戻され、更に、新規の買いも増えよう。ドル離れという歴史的トレンドは不変なのだ。金を「処分」しようとの動きではない。

外為市場のドル高も、ドルを好んで買っているのではない。世界の貿易システムに米ドル決済が組み込まれているからだ。

FRB利上げ観測も、目先の話で、年末まで見据えると、はなはだ、不確定だ。利上げ・利下げ予測は中長期的には、クルクル変わるものだ。

そもそも米国でもインフレが進行中だが、物価上昇に賃金上昇が追い付かず、実質賃金はマイナス傾向なのだ。米国経済の6割以上を占める個人消費は、はなはだ不安定。クレジットカード決済遅延件数が増加中だ。
そこで、FRBが利上げを突きつけたらどうなるか。住宅ローン金利は上昇。トランプの政治的利下げ圧力とは別次元で、FRBの独自判断により、今年は政策金利据え置きの可能性が強い。

そして米国中間選挙を11月に控え、トランプも、中東に対する強硬姿勢・発言は慎まざるを得ないであろう。原油価格過熱も、年末までの視点で見れば、原油先物市場の投機筋の買い攻勢が徐々に冷めてゆくであろう。


以上をまとめて、年後半5,500ドルまで回復を見込んでいる。

なお、為替は、ご存じ、円安派の筆者ゆえ、165円を見ている。