大きな価格変動があったので、既に、Xの@jefftoshimaには、土曜朝に速報したが、雇用統計の上振れで、貴金属価格が軒並み大きく下落。

まず、5月雇用統計の新規雇用者数が、17万2,000人増加。事前予測の8万5,000人をはるかに上回った。
更に、前月(4月)分も11万5,000人増から17万9,000人に上方改定された。

雇用が増えることは良いことだが、市場は、原油由来のインフレに「火に油を注ぐようなもの」と警戒する。特に、物価と雇用の安定を使命とするFRBは、軸足を「物価安定」に移し、インフレ再燃を抑制するため「利上げ」に動く可能性が強まった。年内利上げ確率も60%を超えてきた。

「利上げ」は金利を生まない金にとって天敵だ。しかも、利上げ観測が強まると同時に、ドル金利も上昇、外為市場ではドル高も強まる。いずれも、金には下げ材料だ。

この結果、金は上記KITCOグラフの赤線(金曜日)、緑線(本日午前中)が示すように、4,300ドル近傍まで約3%も急落したのだ。銀にいたっては、8%の暴落。これはきつい。Bloodbath(血の海)というような激しい表現が銀市場には流れる。

金の下げを加速させた要因として、4,400ドル近傍にあった200日移動平均線を割り込んだことも大きい。この事実は、特に投機筋の売り手じまいを誘発する。AIのプログラム売買がNY市場では普及しているので、売りが売りを呼ぶ展開になりやすいことも見逃せない。
ヘッジファンドも短期系のみならず、中期のスパンで運用するグローバルマクロ系の投げ売りも目立った。

さて、これからどうなる。
まず、今週のCPI(米消費者物価指数)発表で、もう一荒れの可能性。更に、来週には、ウォーシュ新FRB議長のデビュー戦ともいえるFOMCが開催される。

当面、下押し圧力が強く、4,200ドルまでの続落は覚悟せねばなるまい。
但し、ここが最も重要なポイントだが、金の長期的上昇トレンドを支えるファンダメンタルズには、いささかの変化もないこと。中央銀行の金買い、歴史的ドル離れ傾向(短期のドル高とは、全く次元が異なる歴史的トレンド)、主要国で膨らむ財政赤字、そして予見不能な地政学的リスク。

これらの長期的要因が重なるなかで、短期筋が市場を去った後は、本当に長期に金を保有する投資家たちが残り、市場の体質も、余計な中性脂肪みたいな投機筋が減ることにより、筋肉質になる。今生じている急落は、ダイエット効果を持つとでもいえようか。地味に金ETFを買い続けている投資家にとっては、割安で金を買えるバーゲン・セールみたいなもの。高見の見物気分でOK。

金価格など気にするより、グルメなど人生を楽しむ余裕があろう。
筆者が、興味深く読んだのが、X@jefftoshimaの返信欄。様々な感想が書き込まれているが、概ね、当面荒い相場は覚悟のうえで一喜一憂せず、長期的な視点を持ち続けようとの姿勢が目立つことだ。
このXアカウントのフォロアー5万5,400人の多くは所謂「草食系投資家」であることが特徴。
筆者にとっては心強い結果であった。
「なりすまし」が出没することが、困ったことではあるが。