首題の記事が今朝の日経朝刊(グローバルマーケット面)に載っているが、「なにを今になって」という感じ。
昨年10月8日づけ日経本紙で既に報道されたことだからだ↓

金4,000ドル突破、中銀保有で米国債超え トランプ不信がマネー呼ぶ:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB062G00W5A001C2000000/

今回は、欧州中央銀行(ECB)が、あらためて発表して、FTも記事化したことで、日経NY・ロンドン支局が、日経既報を知らず、後追い報道したと思われる。

ま、いずれにせよ、世界の中銀が、金を買うことで量的に金保有量が増え、同時に、金価格高騰で、金保有額も増えたので、金の保有割合が27%まで上昇したということだ。

金を買う代わりに売られたのが米国債(米国の借金証文)。
その背景が、国際基軸通貨としての米ドルへの信認低下。
いわゆる「ドル離れ」現象だ。

しかし、足元の外為市場では、ドル高基調ではないか、との質問も寄せられる。「有事の金買い」ではなく「有事のドル買い」現象が顕在化している。

これは、米国債の流動性が圧倒的に多く、米ドルによる世界貿易の決済システムが現実には確立されているからだ。
嫌われ者のドルでも、実務的には、ドルを使わざるを得ない。

それゆえ、これまでは、世界各国が、外貨準備として米ドルを保有してきた。しかし、米ドルが信頼できるから使ってきたわけではない。そこで、世界で認められる基軸通貨など無いから、地域別に基軸通貨を選べばよい、という「最適通貨圏構想」も浮上した。
米大陸はドル、欧州はユーロ、アジアは人民元?円?、そしてイスラム圏は「ゴールド」という発想だ。主唱者の故マンデル教授は、「ユーロの父」と言われ、ノーベル経済学賞を授与された。やはり、米ドル依存のリスクは、アカデミックな世界でも危惧されてきたわけだ。

興味深いのは、イスラム圏の基軸通貨として「ゴールド」が浮上したこと。実際に、マレーシアのマハティール首相は、イランとの貿易に、ゴールド・ディナールという、金の裏付けのある新通貨を使うことを提唱した。

話を戻すと、このような金融環境のなかで、ドル高なれど、「ドル不安」という現象が顕在化したわけだ。特に、日本は円安基調が定着。為替介入も失敗して、またもや160円。このような外為環境ゆえ、日本人投資家は、トランプが何をやらかすか心配なれど、とりあえず、自国通貨安ヘッジとしてドルを選好する傾向が強まっている。円と比べればドルのほうがマシということか。

かくしてドルが駆け込み寺と化しているが、そのお寺が火事になるリスクも無視できず、「ゴールド・テンプル」という、古代エジプト時代から存在する古刹に逃げ込む現象が目立つわけだ。
円も信用できず、ドルも信用できず、「ドル札や円紙幣は刷れるが、金は刷れない」とのお馴染みの発想である。

なお、日銀は、日本の外貨準備のなかで金を増やすことなど全く考えていない。
「利上げ」と「介入」で円高の流れを力づくで作るべく、市場との薄氷の戦いを演じている。
日銀が金を買わないのであれば、個人が自己防衛で金を買うという流れは、ごく自然な成り行きであろう。