16日づけ次期FRB議長ウォーシュ氏、デビュー戦へ | 豊島逸夫による金市場の解説 ブログ一覧 | 豊島逸夫による金市場解説 | ブログ | 「金の果実」シリーズ|三菱UFJ信託銀行に書いたように、ウオーシュ議会公聴会発言が、今月の要注目点。
これまでの相場は、前座。

そして昨晩、真打登場。
同氏は、多くの議員たちに囲まれ、被告席に座らされ、次から次へと、意地悪な質問を受けた。彼の心の支えは、被告席後ろに控えるウォーシュ夫人。日本では見られない光景。議会の場に夫人同伴。

金市場の関心と本音は、「トランプの言うがまま利下げしてくれると助かる」。
ウオーシュ氏の答えは、「FRBの政治的独立性は守るべき」。
では利下げするかといえば、AIの影響で米国経済生産性が向上したから、インフレは起こりにくく、利下げも出来る環境と語ってきた。しかし、昨晩は、その見解は封印。あくまで、FRBは、雇用と物価の両面安定が使命と語った。

そのためには、金利を上げたり下げたりの金利政策で、対応するという。
実は、この公聴会の数時間前にトランプ大統領は、米CNBCに出演し「ケビン(ウォーシュ)は、利下げするさ」と語っていた。
従って、ウォーシュ氏は、トランプの操り人形ではないとの姿勢を明らかにしたわけだ。

さて、トランプが利下げ圧力をかけ続け、最後は、ウォーシュが折れるのか。そうなれば、金利のつかない金には強い追い風となる期待が高まる。
しかし、昨晩は、最後まで確定的な話は出なかった。
ウォーシュ利下げ容認を期待していた金市場には、失望感が漂い、金価格は一時4,600ドル台まで急落。

その後の、トランプ、イラン停戦延長発言で、若干反発して若干救われた感。たまにはトランプ君もいいタイミングで、言いたい放題やってくれるね(笑)

さて、ウォーシュFRBが、どう、動くか。
ある意味、米国は原油生産国の余裕で、NY金市場は、FRBの金利政策と量的緩和政策に注目点がシフトしている。そもそも、イラン戦争勃発の時点で有事の金売りになったのも、原油急騰でインフレ再燃してFRBが「利上げ」さえ実行せざるを得ないかも、との議論が噴出したからだ。

金市場が気になる点が、もう一つある。
ウォーシュ氏は、かねてから、FRBの資産規模が肥大化しており、量的引き締め(QT)で、減らす(スリム化)べしとの考えを述べてきたからだ。QTやられると、過剰流動性相場の株にも金にも打撃となるは必至。ウォーシュ氏は、昨晩の時点で、これまでのFRBパウエル体制を明確に批判して、インフレ指数なども、新たな指標を考案すべしと説いている。

金市場対ウォーシュFRBのせめぎあいは、やっと1回表に、大谷が先頭打者で登場した程度の段階。

筆者は、昨晩は、NYの海千山千の連中とじっくり話し込んだが、結局、中東情勢といっても、原油価格と金利動向しか本気で見ていないね。いわゆる地政学的リスクは、トランプの妄言で、その影響力を失った。

そもそもNY市場には株債券出身の銀行系ゴールドディーラーが多く、対して、ロンドンでは現物重視のコモディティー系ディーラーが相対的に多い。NYは金利を重視。ロンドンは現物の流れを重視。筆者はスイス銀行出身。対して日本にはコモディティー系が多い。筆者は「アウェー感」を感じるときさえあるよ。

国際金価格形成の過程ではNYが圧倒的に主導的な状況である。ただ、日本のメディアは、「商品部ユニット」が金を担当するので、ロンドン系の見解が報道されがちだ。筆者がかねてから違和感を覚えているところ。

まぁ、話は尽きないが、ここは、緊急YOUTUBE(かなり専門性が高くなるが)でもやって、じっくり語りたいと思う。
「どうなる、ウオーシュ対金市場」かな。