筆者は二つの金ETF商品開発・上場に、ワールド・ゴールド・カウンシルの立場で、直接関与した。
とにかく、産みの苦しみを味わったので、我が子のように可愛い。
金ETFを通じて、一般個人投資家の金市場参加の機会が増えたことは間違いない。最初は年金基金向け商品であったが、いざ、上場されると、売買の主役は、一般個人投資家と機関投資家になった。
セル・サイド(販売業者)も、品揃いの観点で必要な商品と位置づけた。
しかし、良いことばかりではなかった。
今回の金急落劇の引き金を引いたのも、金ETF売却の波であったからだ。
金ETF保有の投資家たちは、地政学的リスクも勿論重視するが、そもそも、株や債券を保有・売買してきた人たちが多いので、「金利」に最も敏感であった。
ここが、金のインゴットを保有する人との違いだ。金地金を買う人は、0.1%の金利差など見ない。地政学的リスクなどの不透明要因から資産を守る意識で金を買う。この人たちは、滅多なことでインゴットを売却することはない。逆に、長期保有を増やす意識が目立つ。
対して、金ETF保有者は、金価格が上がったら売って、安くなったら、また買い直す程度の意識が目立つ。現物の金への愛着が違うのだ。
ゆえに、筆者は、地金保有者が、金の底値を切り上げ、金ETF保有者が、次の価格上昇サイクルのエネルギーとなると見ている。


