今回のFOMCでは、パウエル議長が、利下げは決行するが、慎重な言い回しで、労働市場とインフレの相対する二つのリスクに言及すると思われていた。「そう簡単に利下げはしないよ」とのトランプ大統領への意地も見え隠れした。ところが、蓋を開けてみれば、事前想定より、あっさり、利下げ決定を語った。
利下げ反対者も3名。FOMC内部亀裂が露わである。
結局、決め手となったのが、実質的にFOMC NO.2のNY連銀ウイリアムズ総裁の「利下げ賛成論」であった。
更に、市場での短期的資金不足に対応するために、米国債を購入してマネーを供給する措置も発表された。
これは量的緩和ではない。あくまでも短期資金市場に対する防御的措置である。しかし、株式市場も金市場も、いいとこどりした感がある。マネー供給が増えることは、流動性相場の色が濃いマーケットには、思わぬ朗報となる。
金価格については、FOMC前まで、4,200ドル前後で、やや膠着していた。タカ派的FOMCを恐れていた。
その霧が晴れ、銀主導で、金も追いつけとばかりに、買いが集中した面もある。
いずれにせよ、FOMC後の金銀上昇は「投機的」と言わざるを得ない。
ときあたかも、BIS(国際決済銀行)が、今年の金暴騰を「バブル」と断じるレポートを発表して、話題になった。
中銀の買いが主導する分には、バブルとは言い難いが、今回のような、いいとこどりの買いを見せつけられるとバブル的要素を認めざるを得ない。
とはいえ、短期性の出来事。
歴史的金価格の長期上昇トレンドはいささかも変わらない。


