金価格高騰が、これほど話題になると、我々から見ると、一夜漬けの「俄か金讃美者」が急増している。例えば、ある著名なエコノミスト氏は、アンチ・ゴールドで、金などに投資するのは非合理的行動と明言していたのに、急に、今こそ金!みたいな論調に変身していた。唖然。こういう人が、これまで説いてきた一般経済理論さえも、疑わしく感じてしまう。まぁ、知ったかぶりもほどほどに。
メディアも然りで、金と言えば、密輸とか、偽物の話題ばかりで、まともにポートフォリオの中の金について論じる風潮が、極めて希薄であった。それが、今や、手のひら返したように、金の必要性が熱く説かれる。ところが、一夜漬けの悲しさで、トン表示がキロ表示というような初歩的ミスから、陰謀論如き論調を、平気で発信している事例が目立つ。金本位制復帰論に至っては、何をかいわんや。
と、まぁ、ブツブツ書いてきたが(笑)、ここは、笑って許そう~
昨晩のNY市場では、米国を代表する銀行家であるJPモルガンのダイモンCEOが、決算発表で、「このような環境では、金が5,000ドルにも10,000ドルになっても驚かない」というような発言が話題に。
カリスマヘッジファンドのレイ・ダリオ氏も、金の保有を推奨。
掲示板投資グループのレディットも、金・銀売買に走っている。
かくいう筆者も、昨日は、朝と夕方の二回にわたって、TBSで「銀」の話。今日は、これから、日経マネーのYOUTUBEで、金を語る企画。
努めて自戒して、このブーム的熱気のなかで、冷静なスタンスを保つべく行動している。少し、金の悪口叩くくらいで、バランスがとれるかも。
筆者曰く、今年の上げっぷりは異常。
来年、このペースが続くと、期待するな。
長期的上昇傾向はいささかも変わらないが、上げのスピードは、加速・減速、場合によっては、バックの時期もあろう。
総じて、金の世界には、パラダイム・シフトが起こっており、過去の経験則はもはや当てはまらない。
昨日は、日本国内で投資用小型金塊の販売一時停止が、今頃になって、報じられた。見出しが売れすぎて「売り切れ御免」。
筆者の感想は、また、Xの@jefftoshimaに投稿した。
このX、旧ツイッター・アカウントは、今年に入り、手が回らず、事実上、ストップしていたが、ここにきて、再開した。相変わらず、フォローしている人、ゼロという、一方的情報発信の姿勢だが、いつのまにか、フォロワーも5万人に迫ってきた。といっても、地味なアカウントだから、Xの世界では大したことないけどね。まぁ、ブログと相乗効果を意識している感じだね。
最後に、銀についてだけど、基本的に金とは異なり、単なるロンドン現物市場での、在庫不足。銀を保管施設にかき集め、出し惜しみする「退蔵」傾向が強まり、モノ不足感を煽る。更に、トランプによる銀への課税が噂され、米国市場への駆け込み的現物搬入がロンドンの現物不足感に拍車をかける。そこで、例えば、契約で銀を売らねばならない業者は、足元見られ言い値で買わざるを得ない。先物で金を安く売ってしまった投機家は、締め上げ(short squeeze)で悲鳴をあげる。
でも、例えば、トランプの「銀への課税は無し」などの発言ひとつで、ちゃぶ台返しとなるリスク。そもそも、銀価格が高くなれば、リサイクルは増え、高値につられて退蔵されていた金がロンドン市場に還流。ロンドン市場の品不足は緩和される。
とはいえ、元の水準まで下がることはなく、新たな需給均衡点を模索することになろう。
投資対象としての銀は、値動きが荒いのが特徴ゆえ、お世辞にも「安全資産」とはいいかねる。銀を外貨準備で保有する国もない。ただ、ETFの形で、金融商品化されたので、特に投機マネーの流入は間違いなく増えた。
とはいえ、老後の資産として、貯えるなら、やはり金だね。
これが、筆者の見解。
一部の業者の友人からは、30キロ、銀の現物のデリバリーを頼まれ、タワマンの30階まで運ばされ、腰痛が慢性になったと嘆く声も聞こえてくる(笑)
まぁ、当面、腰痛の快癒が期待できる雰囲気ではないね~


