今日は、トランプ政権が、パウエルFRB議長に利下げを強要する中で、
FRB本部ビル改修計画が派手過ぎるとの批判を煽っている件。

週末恒例の米テレビ局討論番組で、パウエルFRB議長更迭問題が取り上げられ、次期候補者と見られる人物たちの発言が物議を醸している。
まず、本命視されているウオーシュ元FRB理事が、FOXテレビに出演。FRB本部改修が「屋上庭園などベルサイユ宮殿を想起」と批判されていることについて、「けしからぬ事。FRBは、金融政策のみならず監督面でも方向性を失っている。立派な本部改修に大金を投じることは、その一例に過ぎない」と、これまでの論調を更にエスカレートさせた。NY市場のFEDウオッチャーたちも、あっけにとられているほどだ。

更に、ここにきて急速に次期議長有力候補として浮上しつつあるハセット国家経済会議委員長が、ABCテレビで、「トランプ政権は、パウエル議長を任期終了前に罷免出来るか」とのストレートな質問に対して、「調査中だが、理由があれば、もちろん出来るであろう」と答えた。
同氏の語り口は常に穏やかゆえ、この言い回しは、「改修問題を口実にパウエル氏を議長の座から引きずり下ろす意志を明確に示した」と市場では受け止められている。

いっぽう、トランプ大統領は、「パウエル氏を罷免したくはない」と明言しているかと思えば、再び、パウエル氏に辞任を迫る。親分は余裕の構えで、若頭たちを競わせ、改修工事に対する様々な意見を述べさせている、というところか。

この「ベルサイユ宮殿並みの改修問題」の口火を切ったボート行政管理予算局(OMB)長官は、Xへの投稿で「改修工事費が最大25億ドル。当初の予定を7億ドルほど上回る。改修には屋上庭園やVIP用エレベーター、高級大理石などが含まれている」と批判している。

足元では、外為市場でドル高傾向が再燃しているおり、FRB議長人事問題のフォーカスを、「利下げ」から「改修問題」に徐々にシフトさせる意志を市場は徐々に感じ取っている。

いずれにせよ、任期終了前に、次期FRB議長の指名が明らかになれば、現職パウエル氏はレームダック。次期議長が、実質的に「影のFRB議長」となる可能性がある。
金融市場は、かなり混乱するであろう。