12月29日の日経記事に「貴金属業界で50年間働いているがこんな年の瀬の相場は初めてだ」マーケットアナリストの豊島逸夫氏が思わずそうつぶやくほど、2025年末の貴金属相場は異様ともいえる熱気を帯びている。
と書かれたほど、びっくりポンの相場乱高下劇が展開された。
そして年が明けたら、ベネズエラ情勢で、絵に描いたような「有事の金」。
筆者は、総じて、「有事の金のドカ買いは悪魔の選択」と戒めてきたが、今回ばかりは、そうも言っていられない展開だ。独裁者が仕切る国に軍事介入して本人を米国に移送。
裁判にかけるという。
メディアで詳細は報道されている通りで、これが通れば、習近平が台湾の総督を軍事介入して北京に移送。
裁判にかけても、米国は批判できまい。
国際法違反は明らかで悪しき前例を作ってしまった、という点で、今回の「有事」は、長期的な影響が懸念される。
この「有事」が起きてから、初の取引日が本日。
KITCOグラフの赤線。
本稿はアジア時間に執筆中だが、4,300ドル台から4,400ドル台に急騰中だ。但し、ベネズエラの乱に限っては、投機マネーが原油市場に乱入しており、貴金属は主役ではなく脇役扱いだ。
なお、年末のブログに書いたように、CMEが貴金属売買に関して、2回目の
追加証拠金を課すと発表したことで、ベネズエラ前は、貴金属全般に下げ圧力が強い状況であった。
CMEは、貴金属投機を抑制したが、ベネズエラ発の有事の金買い騒動までは、抑制できなかった、ということだ。
総じて、筆者が強調しておきたいことは、本欄で繰り返し書いてきた「アジアの中の日本」の厳しい現実。
台湾有事の可能性を考えれば、ベネズエラ情勢は他人事ではない。
万が一の有事に備えた金の必要性が益々高まってきた。
トランプ大統領の西半球重視は、グリーンランドにも及ぶ。
その結果、東半球(含む台湾)での軍事バランスは、中国軍優位となる。
なお、銀もプラチナも、有事の資産扱いとなり、価格上昇に拍車がかかっている。この二つの貴金属は市場規模も小さく、安全資産と呼ぶには無理がある。投機的要素が強いことは、本欄で、何回も指摘したことだ。
それぞれ実需は確かに存在するが、取引の大半は、マネーゲームであることをお忘れなく。


