金ブームと言われて久しいが、では、実際に金を買っている人が急増しているのか、とえば、まだまだ。確かに増えてはいるが、「金?なんか怖い」と尻込みする人が未だに圧倒的だと思う。筆者は、金に限らず、株や外為についても書いているが、総じて、金の原稿へのアクセスは、ガタンと落ちる。
「豊島さんって、金の専門家ということだから、怪しい人と言う印象でした。でも、実際に話していることを聞くと、凄く真面目な方なんですね」と、若い女性に、あっけらかんと言われ、思わず苦笑したこともある。
「有史以来、採掘された金は、プールx杯分」という話にしても、筆者にしてみれば、40年前から、語ってきたわけだが、未だに、「へぇーーそうなんだ」と感嘆される。親しい友人には「豊島は、40年前と同じ話をしているではないか」と呆れられる始末だ。
ここ5年ほどは、若い投資家の参入が目立つが、youtubeには、かなり怪しい説明がまかり通っている。金ブームに乗って、俄か金スペシャリストが増えているのだ。Youtubeの視聴者にしてみれば、そこで語られる情報が正しいか間違っているか、判別もできない。
Youtubeのタイトルは、かなり誇張された表現も多く、(例えば、金で絶対に儲かる方法を伝授、など)実に危うい状況だ。それも、いかにも、優し気な男性・女性が巧みな話術で語るのだから、素人衆で「はまる」人が絶えない。
金の本にしても、真面目な著書に比し、明らかな「陰謀説」を説く本のほうが、3倍以上は売れる。筆者の本も、例えば、丸の内のオアゾとかビジネス街の本屋さんでは、よく売れたが、渋谷・新宿あたりになると、サッパリであった。聞けば、この傾向は、今も変わらないそうだ。
まだまだ、金啓蒙の道は遠い。
地味にコツコツやり続けるしかない。
魔法の杖はないのだ。