昨晩のNY市場では、外電で石破発言「日本の財政状況はギリシアより悪い」との発言が伝わり、話題となった。日本国債の主たる所有者は日本人で、外国からの借金依存体質ではない、とされるが、永田町で、財源の見えないバラマキ政策が議論されている状況では、海外投資家の視点で、(円高による為替差益を考慮しても)日本国債にも、うっかり手を出せない。
では、あのお堅い国のドイツ国債はどうか。この国も、伝統的な財政規律を緩め、積極財政の方向に歴史的舵を切ったばかり。もはや、主要国の国債が「安全資産」と言いかねる状況だ。
だからこそ「金」、という話になるわけだが、昨晩のNY金市場では、金価格上昇が限定的であった。米国債格下げは既に米格付け大手2社が昨年決定しており、最後に残ったムーディーズが追随しても、織り込み済というわけだ。とはいえ、財政赤字問題はパウエル議長の言うとおり「サステナブルではない」つまり、維持不可能ということだ。今後、ジワリ効くことになろう。
さて、日本人の立場で、日本国債を保有することは賢明な資産運用といえるのか。
それに対する最も明確な答えがある。
筆者の周りには日本国債の司令塔である財務省出身のOBたちがゴロゴロしている。彼らは、退官して、一国民の立場になると、「日本はいずれジンバブエになる」と平然と言い切る。日本国のバランスシートを担当してきた人が、虎の子の退職金で、日本国債だけは、持ちたくないというわけだ。
これは怖い話。
所謂「陰謀説」を語る本の作者とは違い、現場出身の人物たちの話ゆえ、説得力がある。とはいえ、日本国債は、日本の金融の世界にしっかり組み込まれており、現役組で公職にある立場では、今更、嫌だとは、ゆめゆめ言えないことだ。タブーと言えよう。だからこそ「ギリシアより悪い」との発言が、NY市場で注目されたわけだ。