今週のメインイベントであるFOMC記者会見の前日、フライングかと思われるような、国際金価格急騰。(グラフはロコロンドン)。筆者も3,100ドルはあると見ていたが、このタイミングで、3,000ドル超えのレンジの値固めに入るとは想定していなかった。

 

NY金市場最前線では、AI売買プログラムが多用され、買いが買いを生む連鎖が生じやすい市場環境になっている。人間の投機家だけでは、FOMC直前に3,000ドル超えで40ドル近く買い上げるのは無理筋だ。人間様は解説役に廻るしかあるまい(笑)


なお、昨日、特に買い材料もなかった。敢えていえば、ゴールドマンサックスなどが発表する経済政策不安指数が、グラフで見ると、直近ほぼ垂直に上がっている。この「不確実性」こそが安全資産とされる金へのマネー流入を誘発している。


株安=金買いという「市場の法則」も、昨年から崩れていたが、ここにきて、復活気味だ。


それにしても、歴史的高値圏で、インドや中国など文化的金選好度の高い国の金現物需要は、明らかに萎えてきている。実需の裏付けがなく、投機主導の相場は、派手に上がるが、派手に下がる。


現時点で、3,200ドル程度までは、モメンタムで上がるが、トランプ関税という材料も徐々に陳腐化すると、売りの巻き戻しが起きやすい地合いになろう。新雪のドカ雪が表層雪崩を惹き起こすイメージだ。3,000ドル割れも十分にあり得る。ボラティリティーは極めて高い。


この仮説が正しいか否か。まずは、今晩のFOMCパウエル記者会見に注目したい。
今回のFOMCは、政策金利は動かさず、無風と言われ、同時発表のドットチャートも、外れっぱなしゆえ、説得力に欠く。なにせ、トランプ次第で金利環境も激変するゆえ、FOMC参加者の金利予測もトランプ次第というのが実態だ。米金融政策の司令塔FRBは事実上トランプ組に乗っ取られた。そのなかで、パウエル議長は、意地でも米国経済堅調説を貫くと思われる。記者会見では、その理由について突っ込まれるは必至。


更に、筆者の注目点は、中立金利に関する議論にパウエル議長が言及するか否か。最近のFRB高官の論調を見るに、景気を刺激もせず、下押しもしない中立金利は3%-3.5%程度と見られている。従来に比し、0.5-1%近く、上がってきている。記者会見で、ここを問われた場合に、パウエル氏が、どのような言い回しで答えるのか。中立金利は政策金利の重要な決定要因だけに興味津々。
なお、ウクライナを巡るトランプ・プーチンの歩み寄り報道は、狐と狸の化かしあいみたいで、信じるに足る市場変動要因とはなりにくい。


最後に、ドル円は、日本で騒がれるほど、NY市場で円買いムードが熱くなった実感はない。昨年の円キャリーに比し、今年の円買いの規模は小さい。(外為では取引所の出来高は、相対的に限定的だ)。今年は、ドル円のレンジも限定的で、NYの外為関係者も昨年より暇ゆえ、夏休みの家族旅行プランなど、もう立て始めているよ。ジャパンツアーが人気で、それが、彼らの「円買い」だとさ(笑)
なお、明日は日本が休日なので、大きな動きがあれば、X @jefftoshima でコメントする。この数か月、御用繁多で、殆どアップデートしていないけど(笑)