筆者は、一橋大学経済学部で、「国際経済論」を専攻した。そこで学んだことは、「自由貿易」。世界の国々が、自国の得意分野に国のリソースを配分して、不得意分野は、他国に譲る。さすれば、世界経済のパイは成長して大きくなる。この「譲る精神」こそ自由貿易の要だ。

 

対して、保護主義とは、お互いに関税をかけあい、自国産業を必死に守る。そもそもが「喧嘩」の精神ゆえ、世界各国の経済が傷つき、世界経済のパイは縮小する。自由貿易なら拡大均衡。保護主義なら縮小均衡。残念ながら、現在の世界は、後者に向かっている。

 

保護主義の時代が長引けば、例えば、NISAで株を長期積立購入しても、株価が総合的に下がってしまうので、下手すれば、長期株式投資で損失が生じる。NISAは「投資の利益」への課税が優遇されるのだが、損失では、優遇どころではない。

 

トランプの我儘が続けば、日本では、NISA投資家集団が、悲鳴を上げることになろう。

 

だからといって、単純に金積立が良いともいえない。全員負けのシナリオでは、投資する資金的余裕さえなくなり、気持ちが萎えてしまう可能性があるからだ。

 

これが、トランプ・リスクの最も「やばい」ところ。

 

昨晩は、トランプ政権はカナダに対して、関税を25%から50%に引き上げる可能性をちらつかせたかと思えば、午後になり、譲歩的姿勢を見せた。こんなことを続ければ、カナダ国民の憎悪は増すばかりであろう。

 

筆者は、トランプの「罪」を真に案じている。