昨日は、バイデン大統領とイエレン財務長官(前FRB議長)とパウエル現FRB議長の3名がホワイトハウスで対談した。
議題はインフレ対策。
インフレが国民経済の大問題となり、バイデン大統領の支持率にも下押し圧力をかけている。
そこで、極めて異例なことだが、この3名が相談することになった。
FRBは政治的に独立しているはずだが、バイデン大統領も、黙っている余裕がなくなったと見える。
トランプ前大統領ほどではないが、FRBに政治的プレッシャーをかける、と理解されても反論は出来まい。
そもそもパウエル議長二期目はバイデン氏の指名による。


とはいえ、バイデン大統領もインフレ退治に徹せよと言い切れない理由もある。
そもそもコロナ救済・経済再開のために財政面で大盤振る舞いしたことが、過度な需要を生み、インフレの一因になったからだ。
しかも、インフレ退治のための金融政策は、利上げと量的引き締めという国民に痛みを課す手段だ。
選挙受けするはずもない。
引き締め過ぎれば、景気後退となり、選挙敗北は決定的になる。
中間選挙を控え、経済的にはバイデン陣営も追い詰められているのだ。
ほくそ笑むのは2024年大統領選を視野に行動しているトランプ氏か。
結局、この三者会談は、インフレ問題の難しさを浮き彫りにすることになった。
なお、これとは別に、イエレン氏がCNNとのインタビューで、「私はインフレを甘く見て判断を誤った」と、これまた異例の懺悔ともいえる発言。
既に、パウエル氏は、早々に、「インフレは一過性」と痛恨の判断ミスを犯したことを認めている。
元FRB議長のイエレン氏も、私だって間違えたと語ることにより、パウエル氏に助け舟を出したとも読める。
しかも、今回のインフレは、需要過多と供給障害の二面性を持つ新型インフレだ。
金融政策で過度な需要を抑え込むことは出来ても、コロナによるサプライチェーン破断などは金融政策でコントロールできない。


バイデン氏も、ホットな景気を冷やすためには、雇用統計で新規雇用者が50万人に増えるより、15万人程度に抑えられるほうが望ましいと苦肉の発言を行っている。
米国では500万人以上の人手不足なので、新規雇用は増えるより減るほうが、人手不足による賃金コスト上昇を抑え込めるというわけだ。
なお、NY金価格は急落して1,830ドル台(KITCOグラフ緑線)。

 

kitco

これは、ドル金利上昇による。基本的には債券市場のポジション調整だが、原油急騰が要因になっている。
インフレ退治のためには、強すぎても大幅利上げは強行の姿勢と市場が解釈した面もある。
引き続き、インフレ懸念(上げ要因)と金利上昇(下げ要因)の綱引き状態。