本欄2021年10月15日付に「円安も外国人主導の展開、118円オーバーシュートも視野」と書き、22年3月15日付では「通貨投機筋、123円狙い、黒田ラインはスルー」と書いた。
しかし、円安進行が加速するや、年内127円を次のターゲットに設定している。
2015年6月10日に、黒田総裁が国会で円安けん制と受け止められる発言をして、124円台半ばから後半が「黒田ライン」と意識されてきた経緯がある。
NY外為市場の騒然としたトレーディング現場では、実質実効相場は意識されず、ひたすら名目レートを追っている。
日本経済に関する知見も薄い。
通貨投機筋の顔ぶれも変わった。
これまでは短期筋中心で、売買回転も速かった。
そこに、今回は、グローバル・マクロ系ヘッジファンドも参入している。
世界の政治経済情勢を読み、中期的なポジションを張ってくる。
それゆえ、年内127円「超」を見込み、円買いポジションを積み上げる動きも見られるのだ。
その根拠としては、資源輸入国、少子高齢化、日本企業の生産性低迷、などの構造理由が挙げられる。
更に、3月21日のパウエル「0.5%幅利上げ容認発言」をキッカケに日米金利差の更なる拡大も見込む。
なお、ポストクロダの人事にも特に関心を持っている。
「安全通貨」としては、そもそもNY市場では、ドルが安全通貨との認識が定着している。
「ドルは王様=キング・ダラー」とも言われる。
「円安では、随分、儲けさせてもらった」との声が通貨投機筋からは聞こえてくる。
円安モメンタムは、野球に例えれば「まだ5回裏」との見解も聞かれる。
昨日のNY市場でも、ドルインデックスやユーロが動かず、関心は円に向いていた。
ドル円の通貨ペアが「最も混み合うトレード」となる可能性がある。