円建て金価格がほぼ過去最高値水準に接近中だ。突破も時間の問題と思われる。
まず国際金価格が1900ドルの大台突破。
更に、114-115円台で中期的には円安傾向。これが昨年と異なる大きな変化だ。
キッカケは、やはりウクライナ発の有事の金であった。


以下に昨日の経緯を詳述する。
「ロシア軍の一部撤収」に関しては、懐疑的見解が当初から相次いで語られていた。米国もNATOも、言葉だけでは信じられず、証拠を見せろとばかりにロシアに迫っていた。市場も堪らず懐疑論に傾いたのは日本時間17日午後遅くになった頃だ。アジア市場から欧州市場にバトンタッチする時間帯で取引は薄く、値は荒れやすい。じわり、安全資産とされる米国債、円と金が買われ始めた。その後。市場のリスク回避モードはニューヨーク市場大引けまで続く成り行きとなった。米10年債利回りは2%の大台を割り込み1.9%台半ばまで下落。円は114円台後半まで短期的に上昇。金は1900ドルの大台を突破。歴史的高値圏に突入している。いっぽうダウ平均株価は今年最大の下げ幅となった。


更に、インフレに関しては、ブラード・セントルイス連銀総裁の「ここでFRBが動かなければ、インフレが制御不能になるリスクがある。我々が想定していない新たなサプライズ要因があるかもしれない」と、コロンビア大学主催のパネル討論で語った。


さて、1900ドル突破すると、実需はマイナス(売り戻しが多い)の状況で、NY先物主導の空中戦になり、ボラティリティーは一気に上がる。まずは、1920ドルの水準が値固めできれば、更なる上値も考えられる。とはいえ、1900ドル台では、かなりの利益確定売りも、待ち構えている。そもそも地政学的リスクによる急騰は一過性だ。ウクライナ要因が第一弾ロケットとすれば、インフレが第二弾で、成層圏脱出=2000ドル突破の可能性を残す。
対して、ウクライナ情勢が長期化するシナリオも無視できない。その場合、有事の金買いは続かない。そこに、利上げ7回、0.5%幅利上げ、1兆ドル規模のFRB資産圧縮が重なれば、如何にインフレといえど金利を生まない金には強い逆風となる。


筆者のアドバイスは、今まで通り、コツコツ買い増し、金のストックを増やしてゆくこと。有事の金のまとめ買いは悪魔の選択だ。インフレヘッジの金保有は、老後まで見据えたインフレリスクへの対応と考えるべきだ。年金の天敵はインフレなのだ。
1900ドルでも、今まで通り、長期計画に沿って、まとめ買いを避け、粛々と買い続けること。この価格水準は投機相場ゆえ、上に行くか、下に行くか、短期的にはギャンブルだ。
長期的には3000ドルの見解は全く変わっていない。一歩近づいたと考えている。