日本の休日2月11日のNY市場。
引け前に突然市場が動いた。

PBS(米公共放送ネットワーク)特派員が、ロシアのウクライナ侵攻について新たな詳細な計画ありとツイート。PBSは米国唯一の公共放送ゆえ、マーケットは俄然、有事モードに突入。即、株は急落。金は1830ドル台から1860ドル台にまで急騰。インフレヘッジ買いだけでは突破できなかった1850ドルの強い上値抵抗線を突破した。

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間髪入れず、ホワイトハウスが緊急記者会見。「五輪期間中にも侵攻の可能性あり」「48時間以内にウクライナの米国人は退避せよ」
特に「48時間以内」という具体的指示は初の事なので、これで市場は有事モードに突入した。
安全資産の米国債と円も買われた。

その後、12日土曜日にバイデン・プーチンの電話会談が設定。
週末の市場も緊張感が溢れた。結局、両者折り合わず。有事の切迫感は強まっている。

さて、本欄読者は、有事の金は長続きせず、うっかり買いを入れると、梯子を外されることはご承知のはずだ、プロの発想は「有事の金は売り」。堅気の素人衆が有事の金買いに走ったところでプロは売りの洗礼を浴びせるのが常道。
但し、今回は、インフレヘッジの金買いも同時進行しているので、ウクライナとインフレの合わせ技で、投機的売りの仕掛けで下がったところは買われそうだ。
結果論だが、インフレ買いだけでは突破できなかった1850ドルの壁を、有事の金買いのモメンタムで上抜けたと言えよう。

さて、ウクライナ情勢は、両サイドともに瀬戸際政策。偶発的衝突もありうるが、北京五輪閉幕までは、プーチンも遠慮するのではないか。
盟友習近平の面子を潰すようなことは控えると思われる。五輪後の動きは視界不良。市場は傍観するしかない。

なお、日本3連休中に発表された1月米国消費者物価指数が40年ぶりの7.5%へ上昇。しかも、価格上昇がモノからサービス業へ拡大してきた。市場では、3月0.5%刻みの利上げ、更に、利上げ回数7回が予測される。金利を生まない金には、逆風だが、インフレ拡散は順風だ。結局、ドル実質金利は依然マイナス圏なので、大きく崩れる市場環境ではない。
そこに、ウクライナ有事が生じたというわけだ。
海外市場大波乱の日本3連休であった。
筆者は徹夜が続き、3連休どころではなかった。