大統領選、9回裏バイデン逆転サヨナラのチャンス

日本時間6日金曜日の日中、世界の市場の目は米国ペンシルベニア州にくぎ付けになった。

 

同州の大統領選挙人は20人。バイデン候補がここを取れば270人に達し当選となる。しかし、開票は終始トランプ氏がリード。しかし、都市部と郵便票の開票が進むや、その差が30万票から徐々に縮小。6日朝になり、10万から7.5万、4.8万とみるみる縮まった。(6日午前11時執筆時点)。野球に例えれば、9回裏、無死1,2塁で逆転サヨナラ勝ちも見込める局面だ。

 

たまらずトランプ氏は日本時間朝8時半に緊急記者会見を招集。「ジョージア州やペンシルバニア州では大差で勝っていたはずなのに、急に接戦になり、ダウン(下げ)となったのは納得できない。不正投票のせいだ」と吠えた。側近が止めるのを制して登壇したとの報道もあり、珍しく下向きで原稿を読んでいた。共和党内部からも「ついてゆけない」と批判の声があがるほどの「殿、ご乱心」状態だ。同州知事は共和党でもある。ちなみに、もう一つ残る激戦州アリゾナでは、バイデン氏リードだがトランプ氏が猛追している。記者会見で、アリゾナ州に関しては「お構いなし」の扱いであった。

 

そもそも、選挙戦最終盤にトランプ氏は激戦州を精力的に廻り支持者たちを「当日投票」に駆り出した。対して、民主党側は感染予防のため「郵便投票」を呼びかけた。その郵便票からフロリダ、オハイオ州は開票作業を開始したので、結果的に当日投票分は後回しになり、開票後半にトランプ票増加が加速した。逆に、ジョージア州やペンシルベニア州は郵便票開票を後回しにしたので、開票後半に民主党票が伸びる結果になった。

 

トランプ氏は法廷で徹底抗戦の構えだが、市場の反応は限定的だ。紆余曲折あっても、いずれ決着と読んでいる。NY市場では、青い波も赤い波も起きず、ネジレ議会を歓迎する紫(パープル)の波と新名称が流れ始めた。

 

最近の傾向だが、株高となると金高になりやすい。金は1940-50ドルの水準まで久しぶりの50ドル幅急騰だ。このまま上げ続けるほどのモメンタムはないが、方向性として大統領選後は上値を試す展開だ。

 

但し、NY市場で低リスク通貨と認識されているドルが売られ、円高が103円台まで進行しているので、円建て金価格の上げ幅はやや相殺されている。