産経新聞寄稿文
以下は、昨日の産経新聞朝刊に載った記事の元原稿です。
金に興味など持ったことがない読者を想定して書かれています。量的緩和とかドル不信とか経済的なことは極力控えています。
2020年、コロナ禍のなか、資産運用の世界で大ヒット商品になっているのが「金」です。金の国際価格は史上最高値を更新しています。
その理由は、これまで当たり前のように「これを持っていれば損もせず安心」とされてきた預金と国債が、そうも言っていられなくなってきたからです。預金しても、ゼロ金利。場合によっては手数料まで取られる。国債に至っては、利息を貰えるどころか、場合によっては、買ったほうが利息を払わねばならないという、なんとも理不尽な「マイナス金利」現象が日本だけでなく世界的に生じているからです。
では、それでなぜ、「金」が浮上しているのでしょう。金も利息や配当金を生みません。しかし、金は数億年の時間をかけて地下に出来た希少資源で、それ自体、独自の価値を持つからです。有史以来採掘された金の総量は50メートル水泳プール4杯分に過ぎません。株、国債と異なり、誰かが「発行」したものでもありません。それゆえ、コロナの影響で、発行した国や企業の信用が大きく揺らいでも、金は独自の価値を保つのです。紀元前から金貨が通貨として使われてきた3000年の歴史もあります。金は、有限の希少資源で世界の金鉱山の生産量は今がピーク。これから徐々に減ってゆきます。残るは海底の金鉱脈。しかし、太平洋の底で金を採掘するなど、途方もなく採算のとれない話なのです。
最後に資産運用の観点で、金は脇役です。主役は配当金を生む株式。金の特徴は主役が不調のとき値を上げること。それゆえ、金保有は財産の10%程度におさえましょう。