金持ってるのだけど、今売ったほうがいい??

首題のような質問を頻繁に受けます。
答えは、その人の財産次第ですね。
おカネに余裕がある人は、とりあえず10月くらいまで様子見てもいいでしょう。11月になると、3日には米大統領選挙、そして、11-12月は、金ETFをしこたま買い持っているヘッジファンドの決算期なので、要注意です。それまでに、もっと上がるか、ドンと下がるか。なにせ理屈抜きの投機相場ですから、気まぐれトランプの一言ツイートで大きく動く可能性があります。トランプが何言い出すか、読める人など世界中に誰もいませんよ。これだけは確実なことです。ですから、おカネに余裕があれば、カジノに行ったつもりで、丁半博打に賭けてみるのも一興かもしれません、という程度の話です。
いっぽう、大事な老後資金で金を買った一般個人投資家は、徐々に売り始めて良いと思います。ゼロ金利の時代に、この金高騰で、かなり儲かっているはず。いただけるものは、しっかり、いただくという気持ちは共感できます。売ったあとに、更に金価格が高騰して、早く売り過ぎたと悔やむ可能性もありますが、そこは割り切って考えねばなりません。それが投資というものです。投資で最も難しいのは、損切り売りではなく、利益確定売りなのです。最後は自分の欲との戦いですから。かくいう筆者も、トレーダーとして、利益確定売りのタイミングには悩み抜きましたよ。ですから、気持ちは痛いほど分かります。なお、売るにしても、一度に全て売るのではなく、まず1/4程度売るなど、まとめ売りは避け、売り時を分散することも重要ですよ。
それから現役、そして若い世代ならば、出来れば売らず持ち続けたほうが良いと思います。今、日本国は、コロナ対応予算で、とんでもない巨額の資金を使いつつあります。コロナだろうが、なんだろうが、国の借金は借金。しっかり残りますから、その後始末で、日本経済がかなり辛い目に会うと思います。そのときに備えて、財産を守る保険みたいな意識で、金を長期保有しましょう。更に「積み立て」感覚で、地味に買い増してゆくべきだと思います。あくまで資金的に余裕があれば、という大前提での話ですが。背水の陣の、切羽詰まった投資はいけませんよ。焦りが悪い結果を招くことになりがちですから。
なお、プロ感覚では、金高騰で、ポートフォリオにおける金の運用配分が大きすぎる結果になっている事例も少なからず見られ、リバランスの売りが決算期には出やすくなるでしょう。
それから、最近は、「銀」に関する質問も多いのですが、銀相場は市場が小さいので、ハイリスク・ハイリターンの極致です。いちおうコモディティーとして需給要因はありますが、それを遥かに上回る投機マネーが席捲して超乱高下します。金銀比価などが、まことしやかに、説明あるいはセールスの材料として使われますが、コロナという未曽有の禍に見舞われた市場に、過去の比価の歴史など、参考にはなりません。単に金より単価がずっと安いから手を出しやすいという反応も危険です。各自の投資資金は変わりませんからね。同じ金額で銀のほうが量がいっぱい買えて「お得感」など、錯覚に過ぎません。
銀投資は、堅気の素人衆には、心臓に悪い。海千山千の「ツワモノ」限定商品と心得ましょう。