今日は株の話。
日米株価が反騰中だ。
しかし上昇相場特有の高揚感は感じられない。
NYの医療現場は悲惨だ。隣室の父の最期を家族が見とれない。医療用マスクから防護服に至るまで極端な不足状態なので、医者の立場では、入室しようとする家族を制止せざるを得ない。
人間として「苦渋」を超えた決断と語っていた。
クオモNY知事は、今や全米最大ホットスポットのNY州に連邦政府が送る人口呼吸器の数が絶対的に少ないと憤る。
緊急医療室で誰が先に死ぬのか決めるのは連邦政府のあなた方だ、とまで記者会見で語った。
同じNY市内でもコロナ対策2兆ドル予算を囃す株式市場と惨状ともいえるコロナウイルス禍現場の温度差が鮮明だ。
「自宅待機で時間を持て余し投資を始めた。
しかし、こういう状況で、株で儲かっても、素直には喜べない」
と本音を打ち明ける個人投資家もいる。


これは、日本にとって今や他人事ではない。
コロナ感染拡大カーブを見れば、米国のほうが日本の先を行く可能性が出てきた。
それでも日本株は、申し訳なさそうに上がっている、と見えるのは筆者の主観ゆえか。
こういうときこそ、株を買うなら、ESG投資を実践すべきであろう。(E=環境、S=社会的責任、G=企業統治、を観点に経営されている企業に投資するという考え方)
人命(ライフ)を守ることに資するという意味で「ESGプラスL」も加えてみたらどうか。
ただひたすら「上がりそうなお宝株を物色」では、一般人から見ても「やっぱり株はカジノ」で終わってしまう。
なお、米国では、今回のコロナ対策予算のなかの企業支援について、救済ないし緊急融資を受ける企業には、自社株買いと配当を禁じ、従業員解雇を規制し、更に実業家のトランプ大統領を意識して特定の利害関係を廃することを明記している。
予算の位置づけも、今回はあくまで「緊急支援予算」であり、通常の「景気刺激予算」とは一線を画する。
それでも、トランプ大統領への風当たりは激しい。
州を高リスク、中リスク、低リスクと分け、封鎖などの規制を緩和して、経済復興にも配慮する案を提示している。
「交通事故撲滅のため道路を封鎖するか」と語り、大統領選挙視野に、経済へ軸足を移したく、焦る気持ちがおさえられないようだ。
一般的には「恐慌か、人の命か」究極の選択と議論されるが、そのようなことはお構いなしに、マーケットの現場ではアルゴリズム取引が、機械的に売買注文を発動してゆく。
人間は、今こそ社会的に責任ある投資姿勢を強く前面に打ち出すときであろう。