今年を振り返る時期になった。
2019年、マーケット関連で最大のサプライズは、FRBが利上げから利下げに急速に舵を切ったことであろう。
年初、市場は今年の利上げ回数の話題で持ち切りであった。
しかし、2018年12月に年4回目の利上げを強行したことで市場は大変動。
そこでパウエル議長は短期間に異例の金融政策転換(引き締めから緩和へ)を実行したのだ。
2019年1月9日に日経に掲載された筆者の2019年金価格見通しインタビュー記事でも、まず見出しが「米利上げ停止で1,400ドル超も」。
続いて本文で「仮に利下げまで踏み切った場合、1,500ドルまで上がっても不思議はない」。
利上げありきが前提で、利下げもあり得るとの言い回しに、当時の市場環境が滲む。
結果は年3回利下げで金価格が1,500ドルを超えた。当時は1,350ドルの壁が意識され、1,500ドル予測は少なく、「随分と強気ですね」と言われたものだ。
「日米の株価の戻りは金相場にどのような影響を与えますか」との問いには「米中貿易戦争など不透明感強く、投資リスクを軽減するための金買いは増えるだろう。
19年は株高局面でも金は下がりにくいと考えている」。
これは我ながら(笑)、正しい見通しであったが、市況の法則に逆らう見解ゆえ、「そんなはずはない」との意見も多かった。
特にエクセルの数字だけ見て、市場の実態を知らない若手は、市場に翻弄される傾向がある。
やはりNY市場最前線の空気が読めないと、ミカタを誤るのだ。
相場は生き物。非合理的な動きをする。筆者とて、戸惑うことが多い。
結局、知識の量が多ければ相場が読めるということではない。もし、そうであれば、大学教授が投資の達人となるはずだ。
筆者も、米国のビジネススクール「ウォートン」で「近代ポートフォリオ理論」を学んだが、結局、実践では全く役立たなかった。
更に、チューリッヒのトレーダーたちの半分は高卒であった。学歴など無関係の世界なのだ。
これが相場の醍醐味ともいえよう。
 

話しは変わるが、中国系IR企業にからむ議員逮捕が話題になっている。お粗末な話だ。
当該中国企業は19四半期連続赤字で、株価はピークの2割に沈んでいる。
そこに日本の政治家がノコノコはいってゆけば、それこそ恰好のカモである。
世間(世界)知らずの問屋の若旦那が賭場でむしられるようなもの。
そもそも中国系IR企業のコンプライアンスは、中国共産党の規則順守なのだ。
党への貢献度、党幹部との人的ネットワークが最重要な世界である。
選挙区ばかりを意識して、国際感覚が欠如している政治家が国際的IR誘致の担当というのもお粗末な話ではある。

 
今日の写真は、すっぽん土鍋。寒い季節にピッタリ。コラーゲン豊富で女性にも人気。

 

すっぽん土鍋