テレビ局でも聞かれた。
まず、経歴みて、「はぁ、金のこともご存じなんですね~~」
「ええ、まぁ、ひととおりは」とか答えて(笑)
そして聞かれるのが「消費税上がる前に買ったほうがいいっすかね?」
やっぱり、そうきたか、という感じ。
私の答えこうだ。
「2%程度消費税が上がるからといって、金現物を増税前に買って、増税後に売って、儲けるというのは、あまりに短絡的な発想。その程度は一日の価格変動で吹っ飛ぶ。だから、増税前後に売買益狙うのはお勧めしない。
いっぽう、長期的に見れば、日本の消費税も、いずれ欧州並みの20%前後に上がるのは不可避だ。消費高齢化で移民も拒む国が巨額の財政赤字をかかえ、税収を増やさねば、どうみても、やってゆけない。しかし、増税で選挙には絶対といっていいほど勝てないから、政治家は先送りするが、どこかの時点で、貧乏くじ引く首相が出てくるだろう。
そこまで考えれば、金を長期的に定期的に買い始める最初の一歩の機会にはなると思う。人間は新たな行動をとるとき、切迫感がないと、動かないものだ。今回予定されている消費増税が実行されれば、その機会を提供すると思う。」
こう話すと、メディアの好むネタにはならない。手っ取り早く儲かる方法でないと、発行部数・視聴率アップが見込めないからだ。地味な話は話題にはなりにくい。
それゆえ、私は自分がプロとして苦労話を教訓として披露するわけだ。スイス銀行のトレーダーとしてキャリアを通して、3000回以上、相場を張った。その生涯星取り実績は、ざっくり1600勝1400敗程度。一場所8勝7敗で御の字。負け越しが続くと即クビだ。12年間「平均で」8勝7敗を続けることが、どれほどキツイものか。期末に近づき、負け越しているときなど、素人の堅気衆が羨ましかった。個人投資家には「決算期」がないからだ。3か月ごとに実績を出す必要がない。じっくり構えてゆけることが羨ましかったのだ。それゆえ、プロほど、自分の資産運用は地味なもの。堅気衆ほど、派手なトレーダーの売買をかっこいいなどと見て真似する傾向がある。それゆえ、私は、そんな虚しいことは止めなさい。金は買ったら忘れるくらいの気持ちで長期保有せよ、と口すっぱくして、説き続けているのだ。