22,23日と習近平夫妻がイタリアを訪問中。

主目的は、イタリアの一帯一路参加に関する覚書の交換。

イタリア側は財政逼迫のおり中国主導のアジアインフラ銀行からの融資に期待。中国は、一帯一路の要衝として、イタリアのジェノバとトリエステの二港へ出資。ジェノバからはフランス方面内陸部へ陸送ルートで直結。トリエステからはドイツ方面につながる。

更に、ファーウエイの5Gネットワークもイタリアは使用する。これは、米国からの反発必至。

イタリア側でも、中国企業への技術移転など警戒感は強いが、チャイナマネーが必要なので、妥協する姿勢が透ける。

イタリアの学校に中国語講座を増やすなどの「文化交流」も進む。

イタリアの政局も混迷。極右と極左が連立を生むという異常な構図のなかで、あの破廉恥ベルルスコーニ元首相(82歳)が5月23日のEU議会に立候補することで政界復帰に動く。

一帯一路については、支持基盤が北イタリアの「同盟」は植民地化を警戒するが、極左「五つ星運動」はメイドインイタリア製品の拡販チャンスと歓迎。連立政権に不協和音が生じている。

とはいえ、財政赤字悪化で選挙公約の減税や年金改善がままならず、中国マネーはのどから手がでるほど欲しい。ジェノバの高速道路陥没事故をキッカケにインフラ老朽化懸念の声も高まっている。

EUは、イタリアが中国からの借金漬けを警戒している。

スリランカが一帯一路に参加して借金返済できなくなり、港をひとつ中国にもってゆかれる羽目になった事例もある。

中国の常套手段は、経済不安の国に「白馬の騎士」役で登場して「しんどいでしょう。なんなら融通しまっせ」と持ち掛け、陣営に引き込む。

なお、イタリアは、あのベルルスコーニ氏が未だに政治生命を維持していることが、なんとも不思議の国ではある。結局、不倫した清水の次郎長みたい感じで(笑)、スキャンダルまみれでも、親分肌ゆえ、慕ってくるファンは少なくない。「ベルルスコーニさんのためなら命捧げる」とまで言うファンが100万人はいると選挙調査会社が語っていた。選挙の勝ち方を知っているタフな人物という評価。まぁ、トランプ大統領だって、元ポルノ女優と元ヌードモデルの二人の女性との関係が取沙汰されるのだから、大した違いはないか。熱狂的支持基盤があることも共通点か。

こういう話を書くと、このブログが、日刊ゲンダイみたいになるね(笑)

そこで、次は一転、金融政策問題。

 

注目のFOMCは、ほぼ本欄想定内の結果となった。

市場の年内利上げゼロ回をFOMCが追認。

FRB保有資産縮小は9月で終了。

縮小後のFRB保有資産規模は3.5兆ドル。

ただ一つ、意外な点は、FOMCが来年1回の利上げを見込んでいることだ。市場では来年「利下げ」予測が台頭しているので、FRBと市場の見方が割れたことになる。

どちらが正しいのか。ここは、まさに今後の「経済データ」次第で、FRBも市場も「忍耐強く」見守ることになろう。

FRBの経済見通しでは、声明文で一つ「形容詞」の変化があった。strong(強い)からsolid(堅い)と弱めの表現になったのだ。今後のFOMC声明文でsolidが更に弱めの形容詞に代われば、FRBの次の一手は「利下げ」となろう。

とはいえ、ウオール街では、パウエル時代に入り、「FEDを疑え」が合言葉になっている。

今回の「年内利上げゼロ」は、あくまで、現時点でのFOMC参加者の個人的見解の最大公約数にすぎない。「堅い」と表現されたFRBの経済見通しが次回以降、再び「強い」に代われば、一気に年内利上げ機運が高まろう。

イエレン時代は「FEDに逆らうな」と言われるほど、FEDへの市場の信頼も厚かったが、パウエル現議長は、就任後、発言がぶれる傾向があり、市場は、そのたびに混乱してきた。

その結果、今回のFOMC決定も、うっかり信じると、次回以降に「ちゃぶ台返し」を食らうリスクが意識される。

「FRBのハト派姿勢」が市場に与える影響も賞味期限限定なのだ。

この市場の懸念があるゆえ、FOMC後のNY株価が上がるかと思いきや、20日のダウ平均は141ドル安で引けたのだ。

FOMC声明文発表の約1時間前にトランプ大統領が米中通商交渉について「たとえ合意後も追加関税は取り下げず」と発言したことも効いた。

株式市場の視点では、せっかくパウエル議長が「緩和姿勢」を明確にしてくれたのに、トランプ大統領が、冷や水かけた感がある。

しかし、トランプ問題発言の影響は一過性だが、金利要因は日々のマネー・フローにジワリ効き続ける。

21日のNY株価は、素直にFRB発金利要因が、米中政治要因に勝り、ダウ平均は216ドル急騰した。

但し、FEDを疑うヘッジファンドは、「データ次第」で、次のFOMCに先んじて動く姿勢だ。今後の経済指標が、一転良い数字の連続となれば、FRBのハト派スタンスを無視して、利上げ臨戦モードに戻るであろう。冷静に今回の声明文を読み返し、パウエル議長の記者会見発言を反芻すれば、結局、FRBも経済見通しには難渋して決めかねているのだ。それゆえ「忍耐強く」待つという表現を繰り返しているわけだ。

市場は先走り過ぎていないか。

既に「反省」モードも垣間見られるマーケットの最新状況である。

NY金は1300ドル台で頭が重い。更なる上昇には「利下げ」とか北朝鮮核実験再開などの要因が必要だろう。