昨晩のNY市場は、まず、トランプ大統領による、クアルコムに対するブロードコム買収の禁止令に揺れた。その後、ティラーソン国務長官更迭。これは想定内だったが、ティラーソン氏がツイッタ―で知り、急遽アフリカ出張から帰国という展開は想定外だった。市場には次は誰か、との憶測が飛び交う。後任はイラン・北朝鮮強硬派のポンぺオCIA長官。「私と波長が合う」とのトランプ氏の発言に、「トランプ・チャイルド」新閣僚がホワイトハウスで増えてゆく展開を市場は懸念する。ティラーソン更迭を済ませたトランプ大統領は、カリフォルニアに飛び、メキシコとの壁の試作品点検。巨大な壁の「見本」がずらりと並ぶ映像は、米国保護主義へのビジュアル印象度を高める。そして、引けにかけ、トランプ政権、中国へ数兆円規模の新関税検討の報道が流れNY株が一段安となった。知的財産権侵害を理由にIT製品への関税に留まらず、中国からの投資・ビザ発給制限も規制拡大の検討対象とされ、貿易戦争第二段階を想起させる。

かくして騒然とした雰囲気のなかでは、極東の異国の政権危機による日本株売りなど話題にもならない。自国内の政権不安で頭はいっぱい。ポートフォリオ全体のリスク減らし(derisk)の一環として日本株のアロケーションも減らす程度である。更に、外為市場では、ドル安は議論されるが、日本の政治要因で円買いという発想は薄い。森友関連書類書き換えはフェイクニュースならぬフェイクペイパーということでメディアではコンプライアンスの低さが指摘される。しかし、NY市場でこの問題を把握している人たちの出現率は低い。森友で円を買っているのは日本人が主流のようだ。森友問題に対する海外投資家の注目度が高いと意識するのは日本人の自惚れなのかもしれない。

米朝首脳会談構想は韓国仲介、日本置き去り気味で進んでいる。マーケットでも日本が置き去りにされるリスクが否定できない。

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金価格は添付グラフの緑線が昨日の値動きだけど、ティラーソン更迭の報道で上昇した。

私は、日経マネー年末対談で、2018年地政学的リスクとして、1月ティラーソン辞任を挙げていた。その後、辞任観測報道が繰り返し流れ、金市場も織り込んでいた。それゆえ、この程度の上げ(3ドルくらい)に留まる。とはいえ、トランプ政権不安は金価格の下支えになっている。ポンぺオ新国務長官(就任には議会承認が必要)は、中国・イラン・北朝鮮強硬派である。ティラーソンが「殿、ご乱心」と食い止めていた「トランプ氏イラン核合意廃棄も辞さず」の動きも、ポンぺオならトランプ大統領の意向に沿って動くかも。さすがに森友が国際金価格に影響することはないけどね(苦笑)

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そして今日の写真は、春日部トマト。ガブリと食いつくと、トマトの旨みが口の中に広がる。おいしい野菜は、都会人にとって、最高の贅沢だね。敢えて調理せず、そのまま食べて、自然の味を楽しみたい。