ドル高が進行してNY金が1,210ドル近傍まで急落したところで、トランプ氏の米CNBCインタビューでの発言がドル急落を誘発。NY金は1,230ドル台まで回復した。といっても低水準だが。

今回のテレビ・トランプ発言は、NY時間早朝から毎日流れる経済番組。その番組の名物キャスター氏との対談だった。材料視されたことは、利上げについて異論を述べたこと。これについては前回本欄で詳述した。更に、このテレビ出演後にもツイッタ―で利上げが(減税、規制緩和など)トランプ経済政策の恩恵を台無しにする、とツイート。たたみかけるように、ホワイトハウスも声明で、大統領は2回の利上げの影響を憂慮していることを明らかにした。波状攻撃で市場のドル安を誘発している。

トランプ発のドル安要因はこれだけではない。

米中貿易戦争をエスカレートさせるような発言もインタビューで飛び出した。中国からの全ての輸入に対して関税を引き上げる準備がある、と述べたのだ。中国が報復で対抗するなら、米国も更に関税引き上げで対抗する、という。

これが本当に実施されるとなると、ただ事ではない。市場も動揺した。これが直ちに決まるわけではないが、少なくとも中間選挙までは、選挙区対策として、言い続けるだろう。カドロー国家経済会議委員長は、中間選挙以降も、この方針は変わらないと述べている。

このトランプ発言は効いた。外為市場でのドル買いをひっくり返し、ドル相場は一転売り=ドル安。113円台から110円台まで円高となっている。NY金の反発要因ともなった。

 

なお、外国為替証拠金取引(FX)の市場ではミセスワタナベと呼ばれる日本人投機家集団が、112円台で逆張りに出て巨額のドルを売っていた。トランプ発言はFX市場も救う結果になったのだ。

 

NY金については、まだ底入れとは言い難いが、底値圏に接近と言えるだろう。