市場注目のジャクソンホールでの中央銀行フォーラム。

完全雇用に近く失業率は低下しているのに、賃金上昇、物価上昇が鈍い。パウエルFRB議長は、講演で、今の市場が注目する問題点を論じた。イエレン前議長は、この現象を「ミステリー」としたが、パウエル氏は、もっとロマンチックな表現を使った。曰く「金融政策は天測航法に似たり」星座を観測しながらの航海に例えたのだ。問題は、星の位置がはっきりしないことだ、という。中央銀行出身のFRB議長なら、まず使うことのない表現だ。実務家出身らしい。

市場注目の利上げペースについては、両論併記。利上げを急ぎ過ぎれば景気の腰を折るリスク。利上げが後手にまわれば、景気過熱のリスク。そこで、市場の反応だが、今回は、前者の利上げ慎重論を重視した。パウエル氏の講演は「ややハト派」との受け止め方だ。更に、市場の注目は、今年の利上げから、来年、利上げが打ち止めになる可能性に移る。トランプ減税効果が一巡すれば、米国景気が下降するケースだ。新興国経済危機などのリスクも無視できない。

外為市場ではドルインデックスが急落。NY金は急騰した。

なぜ、市場が、今回はハト派的発言に特に反応したのか。

既にマーケットでは、過去最大級のドル買いポジション、金売りポジションが蓄積していたからだ。

結果的に、絵に描いたようなドル売り戻し、金買い戻しラリーとなった。NY金は1200ドル台を回復。

ここまでは、ほぼ想定内。

さて、問題は、この巻き戻しが一巡後、更にドル売り・金買いが新規に続くか、ということ。

中期的には底値圏と見るが、短期的に未だ底を打ったとは見えない。

NY市場は依然夏季休暇モードで超閑散だ。値動きだけは激しい。

8月末の米国レーバーデイ・ウイークエンドが明けると、いよいよ本格的秋相場入りとなる。