今年もまた5月の真ん中の週、(今年は13日から)は毎年ロンドンで「ロンドンプラチナウイーク」が催されました。
これは「London Platinum and Palladium Market」というLBMA(London Bullion Market Association)に準ずる業界団体が行うもので、基本的にはプラチナ系メタル(PGM)を取引するトレーダー各社(銀行や証券などの金融や商社、大手地金商)が世界の取引相手先を招いて、ランチやディナーをこの一週間の間に催します。
LPPM公式の行事としては火曜日にLPPMセミナー、それに続いてカクテルパーティーがあり、翌日水曜日にプラチナディナーがあります。
ちなみに今年のセミナーは南アのプラチナ鉱山、ドイツのリサイクラー、BMWの原料購買、そして自動車エンジンの専門家による話でした。
この週に合わせて、プラチナ関係各社が、WPICの「Platinum Quarterly Q1 2024」、Metals Focusの「Platinum Group Metals Focus 2024」、Heraeus の「The Platinum Standard 2024」、Johnson Matthey 「PGM market Report 」など各社のPGMマーケットに関する年次報告書(WPICは四半期報告書)が発表されます。
それに合わせて世界中からPGM関係者がロンドンに集まる一週間なのです。
私は商社・銀行でのサラリーマン時代には毎年来ていましたが、その後はパンデミックで開催が中止になったりして、個人的には昨年ひさしぶりに参加しました。
そして今年もまた参加することができました。
プラチナウイークには日本からの参加者も多く、今年は私が会っただけでも日本から15社以上が参加し、おそらくのべ人数も30名も超えたと思います。
毎年秋に行われるLBMA Precious Metals Conferenceよりも日本からの参加者はおそらく多いのではないかと思います。
一度に多くの業界関係者と会い、人脈を作れるこういう機会はやはり重要です。
同じ日本の業界の人間にも毎年ここでだけで会う人も多いというちょっと本末転倒のような状況でもあるのですが。
このロンドンプラチナウイークとタイミングを同じくしてプラチナが大きく上昇しています。
ドル建てプラチナは過去1年間、900ドルから1000ドルというレンジの取引に終始していました。
私はいろんなところで書いたり、Youtubeの番組でも、プラチナは900ドル割れでロングを作り、1,000ドル手前でそれを利食い売り、というレンジ取引を推奨してきました。
この取引戦略での最も重要な条件は、まずロングから入ること。
決して1,000ドル近くでのショートからポジションを始めないということでした。
900ドル以下は底値であるという確信が持てたが、上値の可能性は大きく1,000ドルを越えて大きく上がる可能性は900ドルを割って大きく下げる可能性よりもはるかに大きいと考えたからです。
このレンジ取引は非常に有効でした。
900ドル割れたところを買っていれば確実に利益はとれたのです。
そしてやはりロングから入ることも正解だったことは今回のこの急騰で証明されました。
1,000ドルでショートから入ると今回は大きく持っていかれたことになりました。
上昇を続けるゴールドに対してプラチナがはるかに割安であったこと、そして今回、プラチナウイークで発表された需給報告で改めてプラチナの供給不足状態にスポットライトが当たったことにより、1,000ドルの天井がとうとうブレイクされ、現在1,100ドルヘと近づいています。
そして円建てプラチナはより劇的に上昇しており、ドル建てプラチナの上昇に加え、続く円安により、5,000円を突破、プラチナウイーク中も上昇が続き、5,450円にまで上がっています。
このレベルはなんと2008年以来16年ぶりの高値です。
一時1,460ドルまで広がったゴールドとプラチナの値差も現在は1,330ドルと100ドル以上縮小しました。
それでもまだまだプラチナの割安感は強いと考えます。
水素社会でのプラチナの新たな役割(水電解とFCV)、EVの見直しからのハイブリッド車の復権、そしてまだまだゴールドに対する割安というプラチナを囲む状況が投資家のインタレストをプラチナに向かわせるとすれば、プラチナの上昇はまだ始まったばかりではないでしょうか。
以上