もはや1月も終わりが近づいていますが、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
さて今年の第一弾はちょっとおめでたい?報告からです。
昨年2023年のLBMA(London Bullion Market Association:貴金属マーケットの世界でもっとも権威のある英国銀行が監督官庁である業界自主規制団体)の世界のアナリスト30人による年間相場予想で、私がゴールドの平均価格予想で1位となりました。
世界の名だたる銀行や証券会社のアナリストの相場予想の中で私が1位というのは非常に光栄なことです。
当然日本人としては初めてです。
しかし本人は実は12月中旬まで、予想を出したことさえ忘れており、まして自分の予想がいくらかさえも覚えていませんでした。
ロンドンの知り合いアナリストが連絡をくれて、Bruce, you are winning! と教えてくれました。
LBMAのウェブサイトで調べると私の予想は1,950ドル、その時点でのLBMA PM Gold Priceの平均は1937ドル近辺でした。
私の次に近い平均予想は1,959ドル。
残りの日数は10日くらいだったので、それまでの年間平均価格1,937ドルをあと10日で1,955ドル以上にすることはほとんど不可能なレベル(その時のゴールドスポットは1,980ドル近辺)というのは感覚でわかったので、「勝ったな」と思いました(笑)。
個人的に意外だったのが、アナリストのほとんどがゴールドに対して弱気であったということ。
この予想を出した2023年の年初のマーケットはまだ1,820~30ドルというレベルでした。
アナリスト全員の2023年平均価格予想の平均は1,859.9ドルと実際の平均よりも100ドルも低い予想でした。
そういう意味では今回の相場予想、ずっと強気だったことが結果的に勝因となりました。

 

LBMAのサイト
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LBMAのサイト

私の2023年予想レンジ:$1,700~$2,050 vs 実際のレンジ $1,806~$2,133
私の平均価格予想:$1,950 vs 実際の平均価格 $1,940.54
世界のアナリストの平均予想の平均値:$1,859.90


「米国の政策金利は2023年は5%を超えての推移だと思うが、市場は金利高に対してもはや抗体ができている。
焦点となるのは、多極化がすすむ世界の「ドル離れ」の動き。
中央銀行はゴールドの買いを続け、もしゴールド価格が下がれば世界の個人投資家も買いに動くことが期待される。
これらにより下値は支えられ、もしFRBの金利上げがスローダウンすることがあればゴールドは2,000ドルを目指す動きとなるだろう。」

 

(昨年のゴールドの動き。予想1,950ドルと実際の平均値1,940.54ドル)
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(昨年のゴールドの動き。予想1,950ドルと実際の平均値1,940.54ドル)

この予想の1位の商品は豪Perth Mintの1オンスゴールドコインということです。(まだ来ていませんが。笑)

「2024年の予想」

今年の予想も年初にLBMAに提出したのでゴールドとそれに加えてシルバー、プラチナ、パラジウムの予想をご紹介します。
まだ世界のアナリストの予想は発表されていません(各アナリストの価格予想はまだ発表されていませんが、ゴールドとシルバーのアナリスト予想の平均は発表されています。)。

「ゴールド」

2024年予想レンジ:$1,900~$2,300
平均価格予想:$2,100
アナリストの平均価格予想平均値:$2,059

理由:

「2024年はFRBによる金利下げを始めとして世界の金利は下がるという見方が強い。
昨年は金利高のためにゴールドを売っていたG7の投資家も今度はゴールドを買いに動くと考えられる。
また2022、 2023とゴールドを買ってきた新興国の中央銀行はドル離れというトレンドは変わらず、同様のゴールド買いが予想される。
ゴールドは新興国もG7諸国にもおそらく唯一共通に評価される資産だからだ。
金利の低下と地政学の緊張によりゴールドはさらなる上昇に一年になるのではないか。」


「シルバー 」

予想レンジ;$20~$32
予想平均価格:$26
アナリストの平均価格予想値平均:$24.8

理由:
シルバーは上昇潜在的可能性は高い。
金銀比価は歴史的に非常に高い位置にあり、供給不足は5年も続いているからだ。
しかし最大の需要国である中国の経済が不調であり、ゴールドにある中央銀行の需要が存在しないという不利な状況も存在する。
ただ続く供給不足に地上在庫は消費され、太陽光発電での需要と投資家の現物需要がシルバー価格の上昇を支えると考える。


「プラチナ」

予想レンジ;$850~$1,120
予想平均価格:$1,000

理由:
2023年はプラチナにとっては失望の一年であった。また850~1,100ドルという狭いレンジでの推移であり、このレンジは2024年も続くだろう。900ドル以下を買って1,000ドル付近で売るという戦略は今年も有効だろう。
ただ一つ注意するとすれば、ポジションのはじめはロングから、ということ。
1,000ドル越えのショートから始めるのはリスクが大きいと考える。
というのはこのレンジを破るとすればそれは上になる可能性が高いからだ。
供給不足が予想され、生産の80%を占める南アでは電力不足が続く。中国経済の立ち直りがあればおそらくプラチナは大きく上昇することになるだろう。


「パラジウム」

予想レンジ;$850~$1,300
予想平均価格:$950

2023年、パラジウムの価格が半分になると予想したアナリストは一人もいなかった。
しかし、この下げによってパラジウムの下げの大部分はすでになされたと考える。
底値はおそらく800ドル辺り、プラチナとの価格逆転のポイントあたりがパラジウムの底値になるのではないか?
それ以上の下げはもはや鉱山会社にとってこのメタルを掘る意味がなくなるからだ。


以上が今年の私の予想です。来年の今ごろに結果がどうなっているか確認しましょう。