「プラチナ」

プラチナも24日ロシアのウクライナ侵攻のニュースに一時1,126ドルという高値をつけましたが、その後とりあえずの達成感から利食い売りで1,000ドル近くまで下げ、その後は1,050~1,100ドルのレンジでの推移となっています。
貴金属4品のなかでは最もおとなしい反応になっています。
ゴールドとシルバーには「安全資産」としての買いが、そしてパラジウムにはロシアの生産シェアの高さからの供給不安を材料とした買いが入っていますが、プラチナは安全資産としての認識はゴールドやシルバーほどではなく、鉱山生産でもプラチナは南アが世界の80%を占めていることを考えてもロシア要因の供給不安はまず考えられない。
ということで、プラチナが最も反応が鈍いことも納得がいきます。
とはいえゴールド、シルバー、そしてパラジウムの上昇は当然プラチナも引っ張ります。
今後も直接的な影響よりもほかのメタルの動きという形で影響を受けそうです。

 

(ドル建てプラチナ)
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(ドル建てプラチナ)
(円建てプラチナ)
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(円建てプラチナ)

「パラジウム」

パラジウムはおそらく最も直接的な形でロシアの影響を受ける貴金属です。
世界の生産量におけるロシアの割合が45%と、約半分がロシア産であるので、今回のロシアのウクライナ侵攻に対する西側の経済制裁での供給不安が大きくなるのは当然だと言えるでしょう。

 

(ロシアの割合が高いコモディティ)
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(ロシアの割合が高いコモディティ)

パラジウムは半導体不足の影響を受けて自動車の生産が滞ったために、その需要の80%を占める自動車触媒の需要が激減、年前半の高値3,000ドル手前から、後半には一時1,500ドル台まで下げましたが、自動車生産の立ち上がりでの需要も回復で、安値からの回復の途上で起きたこの地政学リスクでその上昇に弾みがついた形です。

 

(ドル建てパラジウム)
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(ドル建てパラジウム)
(円建てパラジウム)
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(円建てパラジウム)

 

世界がパラジウムの供給の半分をロシアに頼っている以上、ロシアに対する経済制裁の結果として当然、パラジウムの供給に対する不安は大きくなります。
昨年前半にその寸前までいった3,000ドルという歴史的高値に迫ることも十分あり得ると思います。
実務的にも、貴金属(シルバー以外)は、民間の普通の旅客機にカーゴとして積まれて運搬されます。
現在ロシアへのフライトがキャンセルされて、ロシアからのパラジウムの輸出が実質的にできないということになっています。
今後こういった実務的問題により多く直面することになりそうです。
その結果、パラジウムのリースレート(金利)が大きく上昇してきています。
現物供給の逼迫がじわじわと効いてきているのでしょう。

(プラチナとパラジウムの主な埋蔵量の割合)
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(プラチナとパラジウムの主な埋蔵量の割合)

以上