コロナウイルスの世界での感染拡大の勢いはいっこうに衰えをみせません。6月末には全世界の感染者数は1000万人を突破、死者も50万人を超えました。特に新興国や米国南部での感染者数拡大の勢いは目を見張るものがあります。ゴールドはこのコロナウイルスによる先行き不安からの投資家の買いが根強く、6月30日現在1770ドルと4月半ばから続いた1665-1765ドルレンジを超えて1800ドルを狙う動きになっている。このゴールドへの投資家の買いは、非常に根強いものがあり、まだまだ続くでしょう。株価も同時に上昇傾向にあり、ゴールドと株価が同時に上がるという奇妙な状況にあります。ゴールドが先行きの不安で買われているのに対して、株は中央銀行による桁違いの金融緩和による経済のV字回復期待で買われています。果たして今後もそれが続くのかどうか、はわかりませんが、このままこの二つの両極端な状況が続くとは考えにくく、このまま感染拡大が続いて行くといつか株価は大きく修正されると思います。

 

そしてレンジを抜けて大きく上がるゴールドに対して、プラチナはほとんど上昇の気配はなく、ゴールドとの値差が拡がる一方となっています。プラチナは3月のコロナショックによる現金化の波に一時600ドル割れまで下げたあと5月半ばには800ドルまで戻しましたが、その後は800ドルから850ドルでの狭いレンジでの方向感を欠く動きになっています。その結果、上がって行くゴールドとは、現在940ドルもの「値差」となっています。これはもちろん歴史上最大レベルの値差。瞬間的には970ドル近くまでゴールドがプラチナよりも高くなりました。プラチナとゴールドの値動きの最大の違いはずばり、その裏に投資家が存在するかどうか、ということです。ゴールドのETFの残高は今や3000トンを大きく超えて史上最大の残高を日々更新している状況です。またコメックスの投資家ロングは970トン。両方を合わせると4000トンを優に超えている状態です。一方プラチナはETFの残高は75トン、ナイメックスの投資家ロングは34トンと両方を合わせても110トン程度であり、ゴールドの40分の1しかありません。投資マネーの有無が現在のプラチナとゴールドの価格差の最大の理由です。

 

では今後この状況が大きく変化するのでしょうか?残念ながらこのコロナウイルスの拡大が続く状況では、投資家のマネーはゴールドに集中するこの状況は変わらないでしょう。今後、ゴールドはさらに上昇の可能性が高く、プラチナとの値差が1000ドルを超える場面があるかもしれません。短期的に上昇の可能性が高いのはゴールドです。プラチナがゴールドに遅れをとる状況は、世界各国の中央銀行による金融緩和がある限り続くと思われます。

 

プラチナは800ドルの底値圏での推移が続いていますが、プラチナの上昇要因として上げられるのが、まず南アの生産状況です。コロナウイルスによる都市封鎖でプラチナ鉱山の生産のキャパシティが落ちていること。そして最大の需要国である中国で、自動車セクターのプラチナ需要は6月の最初の20日間で前年比50%増となり、特に商用車両(バスやトラックなど)の販売台数が伸びており、2021年にかけて大幅に伸びる見方が強くなっており、これはプラチナにとっては大きな強気材料となるでしょう。現在、底値圏での動きとなっていますが、長い目でみると拾いどころであることは確かでしょう。

 

(プラチナドル建て1年)
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(プラチナドル建て1年)
(プラチナ円建1年)
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(プラチナ円建1年)
(ゴールド・プラチナ・スプレッド)
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(ゴールド・プラチナ・スプレッド)