これまで長い間安値で放置されていたプラチナに変化の兆しが出てきました。まず注目すべきは、世界のプラチナETFの残高が、今年1月半ばから急激に増加していることです。下のチャートでは1月14日時点では2.307m toz (約71.7トン)の残高が、4月2日現在2.981m toz(約92.72トン)となっており、この期間に21トンものプラチナがETFによって買われています。またほぼ同期間に世界最大の先物市場であるNymexでは、投資家のロングポジションが15.7トンから47.6トンに、31.9トンも増加しており、ETFと先物市場で買われたプラチナの量は52トンにも上っています。2018年のプラチナの鉱山生産が約188トンとするとその量は少なくありません。パラジウムの急落でともに下落するのではなく、逆にパラジウムから避難した資金が割安なプラチナに向かってきていると思えます。2018年6月から超えられなかった880ドルをトライ、ここを抜けて4日木曜日には900ドルというレベルまで上昇してきました。
プラチナETF、Nymex投資家ポジション、プラチナ価格の推移
ドル建てプラチナの動き
円建てプラチナの動き
パラジウムの下落とプラチナの上昇の結果、その比率は一時1対0.53まで下がっていたのが、現在は0.65まで戻しています。明らかに上がりすぎたパラジウムと安すぎたプラチナに修正が入っているのが現在のマーケットです。ゴールドとの値差も一時524ドルまで広がっていたものが、現在は396ドルまで縮小しました。パラジウムの急落に関してはまた別途書きますが、このパラジウムの下落をきっかけに、プラチナの割安さが大きく見直されてきています。パラジウム売り・プラチナ買いを積極的にすすめている投資家も多いようです。そもそも物質の価値として、圧倒的にプラチナの方がパラジウムよりも高い(触媒性能が高い、宝飾としての需要も圧倒的に大きい)はずであるのに、プラチナがパラジウムの半値近くになるまでパラジウムが上昇し、プラチナは800ドル以下にはなかなか下がらないものの、全く上昇せず、現在のような値差に至ってしまいましたが、ようやくこの状態の異常さに目を向けて積極的にプラチナを買いすすむ投資家が増えているようです。
プラチナ・パラジウム比価
プラチナ・ゴールドスプレッド
プラチナ価格の修正は、パラジウムがどのあたりで落ち着くか、そして900ドルという重要なポイント(生産コストでもあります。)を抜くことができるのか、でどこまで行くのか決まると思います。
ドル建ての800ドルと円建ての2800円がやはり大底となりました。その付近で長期的に買いではと書いてきましたが、そこから早くもドル建てで100ドル、円建てで400円の上昇となりました。底値付近で買えた人にとっては、短期的には利食い売りで再び下落のチャンスを待つのも一考かもしれません。長期的にはまだまだホールドだと思いますが。
以上