トランプ大統領のイラン嫌い、イラン苛めがエスカレートして、経済制裁という事態に発展しています。兵糧攻めのようなもので、二段階に分け(第一弾8月、第二弾11月)、イランへのカネ・モノの流れを絶つ作戦です。まずは自動車、アルミ、鉄鋼などの制限が第一歩。第二弾として命綱の原油生産輸出決済が出来なくなると、それこそ死活問題になります。既にイランの通貨は急落。国内輸入物価は急騰。経済危機を警戒する市民は金買いに走っています。やはり、中東では、いざとなると「金」の出番なのですね。当局の規制の網を掻い潜って金が密輸ルートで持ち込まれています。私も現場を目撃したことがありますが、ドバイからホルムズ海峡対岸のイランに向け海上輸送で金が運ばれます。そもそもドバイも今や大国際都市ですが、元はといえば、イラン商人たちがホルムズ海峡を渡ってきて作った村だったのです。それゆえ、イランとの交易ルートが未だに厳然として残っています。イランに経済制裁が課されると、このルートを通じて、モノやカネが流れるのは公然の秘密みたいなものです。特に現物の金はかさばらず価値があるので、便利なのですね。
今回の経済制裁は、イランがシリアやイエメンに過激派分子を送り込んで内戦を激化させていることに対する措置とトランプ側は主張しています。本音では中間選挙を睨み、ロシア疑惑や女性スキャンダルから世間の目をそらす意図が透けます。
イラン側は、ロウハニ大統領が穏健派だったのですが、強硬派の革命防衛軍が支持を集めています。
それゆえ、宿敵イスラエルとは臨戦状態。サウジアラビアともイエメンで代理戦争を繰り広げています。
イランは欧州側を味方につけて米国と対峙する構想も描いていますが、欧州も、トランプ大統領を無視はできません。そこで漁夫の利を得ているのが、やはり、中国とロシアということになるのです。
但し、市場は株高の反応でリスク慣れした感じ。
9回裏逆転みたいに、トランプ大統領が最終段階でイランと折り合うシナリオも語られます。
それにしても、長期的には中東から米国が手を引き真空地帯になると、まさに世界の火薬庫と化すので、トランプ大統領の火遊びもいい加減に控えてほしいところです。