FRB資産圧縮を巡る市場の混乱は日本にとっても他人事ではない。
日銀の資産規模は550兆円を超え、量的緩和終了時のFRB資産4.5兆ドル規模を上回る。日本のGDPを上回ることもメディアでは話題になった。
特に、日銀特有の問題として25兆円規模の株ETF保有が挙げられる。
日本株に関して外国人投資家たちから寄せられる「定番」のトピックだ。
FRBの資産圧縮も、未知の海域の海図なき航海を強いられているが、保有資産は債券ゆえ償還がある。償還期を迎えた保有債券の再投資を止めることで、穏やかなペースの自然体で保有資産を圧縮できる。しかし、株に償還はない。25兆円規模は日銀総資産の中では大きくはないが、株式市場に対する影響は甚大だ。午前中に株価が下がれば、午後2時頃には日銀買い出動を期待する「日銀依存症」の症状が顕著だ。仮に、日銀総裁記者会見で保有ETFの「出口」が言及されるだけでも、株価は下がるだろう。放置されれば、株価の歪みが懸念され、日銀という「物言わぬ株主」が大手企業の筆頭株主となるような現象は、欧米市場から見れば異常だ。そもそも、中央銀行が大量の株式を購入・保有するという政策を、スイスの特殊例を除き、「禁じ手」と見る市場関係者も多い。外国人投資家でも、年金基金のような長期投資家は「いずれ臨界点が不可避な問題」として注視する。日銀の買いが日経平均を4000円程度かさ上げしているとの試算にNY市場で遭遇したこともある。
日銀は国債買って、株買って、次には、金でも買ったら(笑)日本の外貨準備としての公的金保有量は欧米中露に比し、異常に少ないのだから。
いっぽう、1月FOMCの「金融政策転換」に接し、ウオール街では「FEDを疑え」の合言葉が益々強まってきた。イエレン時代には「FEDには逆らうな」と言われた。株価が下がればFEDが緩和姿勢を見せることで下値をヘッジしてくれる「イエレン・プット」が市場の支えになった。しかし、「パウエル・プット」は当てにならない、との見方が増えている。1月FOMCで露わになった緩和姿勢は、たしかに株価を急騰させた。しかし、前言を簡単に覆すパウエル流は「朝令暮改」の印象も市場に与えている。これまで叩かれてきたフェイスブックの株価が好決算でいきなり11%も急騰する現象を見せつけれらると、資産価格過熱を理由にFRBが再びタカ派に急転換するシナリオまで意識される。年末年始の株価大変動がFEDのハト派バイアスを強めたとされるが、皮肉なことに、2019年1月のSP500株価指数は1989年1月以来の月間上昇幅を記録する結果となった。まだまだ利上げ・資産圧縮早期終了を素直に織り込める状況ではない。
今年は記者会見付きFOMCがあと7回残る。そもそもは市場との対話を重視する姿勢と見られたが、今回を見る限り、毎回FEDの方針転換を見極める展開となりそうだ。
短期投機筋のヘッジファンドなどは、昨年の記録的損失を挽回するチャンス到来とばかりに期待を込めて身構える。その標的の一つが「円相場」だ。FEDがハト派ならドル売り・円買い、タカ派ならドル買い・円売り。実質実効レートなどお構いなしに、モメンタム(市場の勢い)に乗って高速度売買を駆使しつつ市場を荒らす。昨年末に1日で113円から104円までの円高を演出した事例は、プロローグとでもいえようか。日本の今年10連休の「留守中」などは要注意であろう。
今回の1月FOMCも2019パウエル劇場のプロローグかもしれない。
さて、ついに、花粉第一波首都圏襲来中!この写真は、その原産地。ガーラ湯沢で、たわわに垂れる杉の花群。
今年は花粉シーズン到来も早い!