26日金曜日は、なんという一日!ダボス会議の要人発言に加え、コインチェック大騒動。

まず、日本時間26日深夜の黒田発言が、同日早朝のトランプ発言による円安効果を帳消しにした。金価格も高値圏で乱高下している。

問題の黒田発言は、ダボス会議でのパネルディスカッション中に、モデレーターの質問に答えるなかで起こった。

モデレーター氏が、「貴方は就任時に2%達成目標を発表しました。経済の(好調な)現状を考えれば、もう達成しているはずではないですか。それなのに、なぜ、インフレがないのですか。Why no inflation」と、やや語気を強め、黒田総裁に詰め寄る如き口調で質問を放った。

それに対し、壇上で黒田総裁が苦笑しつつ「グローバリゼーション、技術開発、そしてアマゾン効果などで世界共通の面と、日本特有の面がある。15年以上に及ぶデフレの結果、デフレマインドが企業と家計にかなり強い。とはいえ、インフレ期待がslightlyやや上昇しつつある。物価目標に遂に近づいている(We are finally close to the target)」と語った。

結果的に、モデレーター氏のやや挑戦的とも聞こえる語調を否定するごときトーンとなったことで市場への印象度が強まった感がある。

質問者が声高に迫るなど、日銀金融政策決定会合での記者質問では、まずあり得ない光景だ。

英語でfinallyを使ったことも、「苦労したがやっと」という達成感が滲むごときニュアンスになる。

そこで、アルゴリズムは「出口視野の発言」と読み取り、円高に反応したわけだ。

 

 

なお、市場内での日銀出口観測に関しては、内外で若干温度差が見られる。

23日の金融政策決定会合後の記者会見で、黒田総裁が出口観測を強く牽制したことで、日本時間では円安に振れたが、欧米時間で円高に転じた事例も記憶に生々しい。

国内では、年内出口に実際に動く可能性は低い、と一般的に見られているが、欧米市場では、FRB,ECBに次ぎBOJも「遂に」動くとの観測が根強いのだ。

それゆえ、アルゴリズムにも注目材料として組み込まれているわけだ。

日本側から見れば「いつもと同じ」とも思えるような黒田発言に対して、集中的な円買い注文を発動することになる。

 

 

更にいえば、そもそも日本語の曖昧な表現も、英語に訳されると、ニュアンスが強くなる傾向がある。それゆえ、外遊先での質疑応答は要注意だ。

黒田総裁は英語が堪能なだけに、今回のように英語のパネルに登壇して通訳なしで語るが、ネイティブではないというハンディキャップは否めない。

言葉を選び注意深く発言しているが、親しい中銀総裁などの出席者に囲まれる壇上は、日本にいるときよりリラックスした雰囲気にもなる。

質問者も遠慮しない。

今後も、通貨投機筋が、自分たちのポジションに都合よい解釈をして円相場を動かす傾向には要注意である。

同時に、市場の円高圧力の強さと、を思い知らされる事例ともなった。

 

参考までに黒田発言ビデオを添付する。

 

https://www.bloomberg.com/news/videos/2018-01-26/boj-s-kuroda-says-inflation-finally-close-to-target-video

 

 

そして、週末の、コインチェック騒動。

私も、ミヤネ屋で仮想通貨について説明しました。

ツイッタ―では「コインチェック事件の教訓。セキュリティー対策は、直ぐに顧客獲得にならず後手にまわりがち。出川哲朗のCMにはカネ使ったが、ハッキング対策には予算廻らず」と呟いたら、10万を超えるアクセスがありました。

 

更に、2017年12月13日の本欄「ビットコイン急騰、破綻企業に巨額の恩恵」でマウントゴックスの事例を書いていたので、「コインチェックがなぜ全額返済できるのか。マウントゴックスの事例を昨年12月に書いた。創業者の保有仮想通貨価値が全額返済しても2000億円余るほど」とも呟きました。

仮想通貨は専門的知識が必要なので、やさしく説明することは、ほぼ不可能だと実感しています。