人民元が売られ、連鎖反応で、上海株が売られ、負のスパイラルが止まりません。中国人民銀行も非常手段のカードを切ってきました。投機筋がドルを買い人民元を売るトレードを実行する際には、追加保証金を積め、という御沙汰を発動したのです。こうなると、力づくで支えるという印象を受けますね。とはいえ、本欄でも書いてきたように、人民元安は諸刃の刃。中国製品の輸出競争力は強まりますが、人民元安を嫌ってマネーが中国から流出するリスクを伴います。更に、中国国内のドル建て債務は、人民元安・ドル高で、重みがずっしり増してしまいます。人民元を生かさず殺さずという塩梅が悩ましいところなのです。人民銀行は危うい綱渡りを強いられているのですね。
産経新聞にも人民元安については、コメントしました。↓
https://www.sankei.com/world/news/180804/wor1808040052-n1.html
そもそも、なぜ人民元が今売られているのか。
最大の理由は、米国の利上げでしょう。
ドル金利が相対的に人民元金利より高くなれば、金利差で人民元は売られるわけです。
加えて、中国の巨額債務問題に市場は人民元不安を募らせています。
特に、習近平政権が、目先の中国国内景気浮揚を優先させて、巨額債務軽減のための構造改革を遅らせていることは、問題解決先送りと見做されます。あれだけ大見得切って、「経済の量より質だ」と構造改革方針を強調してきたのに、ここにきて、あっさり、方針転換。金融政策も再びマネー供給の蛇口を緩め、過剰流動性を垂れ流す兆候が顕著です。この要因も人民元安を招いています。結局、借金漬けになっている民間企業、民間銀行はお上に救済されると言うモラルハザードは変わらないですね。
特に、民間企業の巨額債務は世界的にも極めて高水準なので問題視されています。
人民元安になると中国国内金価格は上がりますから、金の実需は軟弱気味です。とはいえ、1200大台攻防となり、1200ドルを割り込むと、さすがに安値拾いも出るでしょう。下値は中国・インドが支える実需構造は変わりません。
なお、先週土曜日の日経朝刊商品面に金相場記事が出ています。