米中貿易摩擦懸念でNYダウ平均の下げ幅は400ポイントを超えていた。
ムニューシン財務長官の「中国企業への投資規制報道はフェイクニュースだ。
中国に限定せず、米国の技術を盗む国が対象だ」とのツイートが火に油を注ぐ展開になっていた。
そこに強硬派ナヴァロ氏が経済テレビCNBCに生出演。一転、火消し発言に出た。
「今日の市場は過剰反応だ。どの国にも投資規制の具体的計画はない。
モメンタムトレーダー(投機筋)の動きだ。
しかし、長期投資家にとって、減税、規制緩和、エネルギーコスト低下、何か気にいらぬことがあるか」
これを受け、ダウ平均の下げ幅は300ポイント超にまで縮小した。
ところが、サンダース報道官は「すべての国を対象に投資規制の声明が近々出されるはず」とムニューシン・ツイートを肯定している。
この政権内不一致が市場の嫌う不透明感を増幅させる。
トランプ大統領も常々、株価上昇を自らの手柄と強調してきたので、自らが招いた「貿易戦争懸念」が株売りの連鎖を誘発している現状を持て余しているのだろう。
更に、この貿易摩擦要因が、FRBの利上げ回数に影響を与えるとの見方も再び台頭してきた。
前回のFOMCで年4回説が優勢になったものの、実態は、FOMC参加者の1人だけが3回から4回に変わっただけだ。
3回説、4回説が拮抗している状況に変わりはない。
グローバルな視点では、米中貿易戦争懸念が、米中株安連鎖を誘発していることも市場の不安感を煽る。
上海株が節目の3000を割り込み弱気相場入りした後、昨日のNY株急落でダウ平均が200日移動平均線を割り込み弱気相場入りの兆しとされている。
習近平氏の口調も激しさを増す。
「西側では左の頬を打たれれば、右頬出すという。我が国の文化では、殴り返す」と報復を表明している。
構造改革路線から成長重視に軸足を戻し、なりふりかまわぬ人民元安誘導も市場では懸念される。
経済成長減速が失業を増やし社会不安醸成を怖れる習近平氏と、中間選挙しか頭にないごときトランプ氏。両氏が焦れば焦るほど株価には下げ圧力がかかる。
マネーの流れも、米国債への逃避が加速。
米10年債利回りも2.8%台まで下がっている。
景気後退の前兆とされる長短金利差(スプレッド)の縮小も加速してきた。
VIXは16台まで上昇中だ。
金だけ蚊帳の外。中国は世界一の金需要国だから、中国経済が鈍化すると、宝飾需要や電子部品需要が減る懸念あり。
市場は、見え透いたトランプ政権の火消し発言でも「トランプ・プット」と歓迎のポーズを取らざるを得ない。
ややタカ派的と見られる現FRB議長のパウエル・プットは期待できそうにない。
イエレン・プット、バーナンキ・プットとFRB議長の「救済発言」に慣れきった市場は、心もとなく感じているようである。
なお、ハーレーショックも見逃せない。
トランプ氏が米国内生産のお手本企業として褒めちぎっていたハーレーダビッドソンが、最大の顧客=EU向けの生産を米国外に移すと検討表明した。
EUの報復関税により、EUに輸出するとき課される関税が6%から31%に上がるからだ。
これ、一台あたり2,200ドルのコストアップ。
アナリストの同社業績予測も5%から8%の減益見込む。
しかも、同社があるウィスコンシン州は米大統領選挙でキー・ステート(鍵を握る州)だった。
最後に、山形から直送のサクランボの写真。
毎晩、ワールドカップとNY相場をフォローしながら(笑)サクランボ食べまくってます~~。